2013/11/25
誌面情報 vol40
-->
これらの情報をまとめる上での注意点は、①現実離れにならないようにする、②時間の経過とともに被害状況が把握できるようにする、③実施する行動を導く情報を与える―などです。また、「共通に付与する基本的な情報」「訓練目的に応じて選択した対策項目に関する情報」「難易度に応じて加える情報」などを考慮しておくことも重要です(図8)。
付与情報の内容は、「付与先」「発信元」「伝達手段」「付与時刻」「付与内容」のような情報で構成します。
4.BCP訓練実施の準備
訓練を行う前は、訓練対象者にスケジュールを通知し、訓練に必要な環境(部屋や機器等)を準備します。例えば、時間がわかりやすく示せるような模擬時計や、災害対応で実際に使う地図、被害状況を書き込むホワイトボード、対応を書き込む模造紙や付箋紙、マジック、電話、安否確認の端末などです。また誰が進行役をするのか、情報を付与するのか、問い合わせに答えるのかなど役割を明確にしておくことも重要です。
5.BCP訓練の実施
訓練の実施は、進行役を中心にルールを説明してから実施します。図上訓練の場合、各部門や各支社の参加者を部屋ごとに分離させたり、シナリオ付与の際、実際の被災映像を見せることも効果的です。訓練項目は一度にすべて通して実施しなくても、例えば発災から1時間で一度区切り、次に1時間から6時間、というように間に休憩を入れながら実施してもよいでしょう。
情報付与のタイミングなども注意が必要です。情報の付与時には口頭の指示だけではなく、情報カードでやりとりをすることも有効です(図9)。
6.BCP訓練の評価、報告、フィードバック
BCP訓練の評価のポイントは、①訓練の目的や目標の達成状況(全体評価)、②BCP関連文書の記載内容の妥当性(マニュアル面の評価)、③役割の遂行度(企画側の評価)、④行動の妥当性(参加者の評価)などがあります。④の行動の妥当性については、情報の取り扱い、情報の整理・分析、情報の伝達・開示、付与された状況への対応、などを評価します。
誌面情報 vol40の他の記事
おすすめ記事
-
目まぐるしい状況変化 懸命に向き合った3カ月
市立輪島病院は能登半島地震で被災しながらも、懸命の処置により、運び込まれる負傷者や感染症に苦しむ患者の命をつなぎました。超急性期・急性期を乗り切ると医療需要は急減し、代わって介護機能の維持が深刻な課題に浮上。発災から介護医療院開設までの約4カ月、病院で何が起きたのかを同院事務部長の河﨑国幸氏に聞きました。
2024/05/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月14日配信アーカイブ】
【5月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:行動指針の意義
2024/05/14
-
-
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
-
-
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
-
-
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月7日配信アーカイブ】
【5月7日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査
2024/05/07
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方