株式会社昭電 地震対策システム部部長の村井和男氏(左)と同情報機器システム部 ソリューション技術グループ課長の加藤拓也氏(右)

株式会社昭電(東京都墨田区)は、情報通信ネットワークを自然災害やトラブルから安全に護るため、「雷害対策」「地震対策」「ネットワーク」「セキュリティ」「ファシリティ」の5分野を組み合わせた数々の製品やサービスを世に送り出し、その技術力が高く評価され成長してきた企業だ。今、昭電が防災力アップのために薦めるのは、災害対策本部に映像を配信するコントロールルーム管理システム(CMS)とデータサーバーを地震から安全に護る「免震装置」だ。

汎用装置の利用で低コストを実現

昭電が提供するCMSは災害対策本部や危機管理室をはじめとした災害対応の中枢で映像を管理するシステムだ。公共施設や道路、河川、海岸などの各地点の監視用に取り付けられたカメラ映像を統合し、中枢のフロントディスプレイに表示。被害状況や事態の推移をリアルタイムに確認でき、状況の変化に合わせた素早い対応が可能になる。

情報機器システム部ソリューション技術グループの加藤拓也課長は「CMSは災害対策の映像ニーズに低コストで応えられるシステムです」と説明する。

ディスプレイにはカメラのライブ映像だけではなく、地図情報や被害報告など様々な情報をパソコンのモニターに表示するように自在に選んで配置し、映し出せる。「さらに、これらの映像は災害対策本部だけではなく、同一建物内の異なる場所や離れた拠点にも配信できます」と加藤氏は説明を続ける。自治体であれば本庁舎から支所や出張所に、企業であれば本店から支店や工場に映像を送ることができるのだ。映像を受け取った側もテレビのチャンネルを変えるように複数の映像から必要な映像を選んで利用できる。CMSはこのように中枢に集まった情報を組織内に広く届け、スムーズな情報共有と組織的な対策の実行を手助けする。

CMSを低コストで導入できるのは、既存のカメラやPC、モニターを活用できるため、新たに監視カメラの導入や専用ネットワークを整備しなくとも既存のネットワークを活用してシステムを組み立てられるからだ。

すでにCMSを導入している静岡市では建設局の土木施設監視センターに大型ディスプレイを設置し、道路やトンネル、河川の映像をCMSで統合して一元的に管理している。同じ映像は同局の災害対策室でも確認でき、また市庁舎内の別フロアにあるパソコンにも配信され、情報共有に役立っているという。また、国や県と連携し、それぞれの組織が設置しているカメラの映像提供を受け、監視体制を強化している。加藤氏は「既設の映像ソースを柔軟に取り込めるため、災害時に組織全体で映像の利活用ができるシステムです。非常に自信のあるシステムですのでぜひ検討していただきたい」と力強く語る。

東日本大震災や熊本地震でも効力を発揮した免震装置

「何を地震から護るのか、どれくらいの揺れに備えて対策するのか、まずはお客様から詳しく話をうかがうことを心がけています」と語るのは地震対策システム部の村井和男部長だ。

昭電が免震装置をはじめてリリースしたのは1986年。それからも開発に力を注ぎ続け、性能を向上させてきた。東日本大震災でも力を発揮し、被災地を含む1000台以上の全導入施設でIT機器を保護し続けた。最大震度7を記録した熊本地震でも周辺企業や病院で変わらぬ高い性能を示し、多くの機器を被害から救った。

「建物が建つ地盤の固さや設置する階層によって選ぶ免震装置は異なります。ご要望に最も適した免震装置を提案しています」と村井氏は話す。直下型地震に高い免震効果を発揮するのは累計出荷台数が1 万台を超えるサーバーラック用免震装置「SD-5タイプⅡ」。摩擦抵抗の低いベアリングを使い、ガイドレールをクロスさせる構造にすることで性能を引き出している。また、建物と共振して高層階
をゆっくりと大きく揺らす長周期振動の対策に適しているのが、埼玉大学と共同開発した「SD-6」。回転摩擦機構を備え、長周期振動の揺れに対し、メカニカルストッパーとして作用させることで効果をもたらす。どちらも主に通信機器やデータセンターのサーバーを護るために利用され、ラックの下に設置するタイプで、短期間での設置工事が可能だ。

 

CMSも免震装置もシステムの設計からネットワークの構築、設置工事、保守管理までワンストップで引き受けられるのが昭電の強み。今後もこの技術力で総合安全企業としての役割を果たしていく。

なお、今回紹介したシステム・製品は10月19日~21日に東京ビッグサイトで開催される危機管理産業展2016で実機の展示紹介を予定している。

(了)