契約数1600以上の実績があるメール配信サービスを提供するユミルリンク。「メール配信で培った技術・ノウハウは安否確認サービスに生かすことができる」とユミルリンクの五十嵐氏(右)と大粒来氏

災害時の安否確認のスタンダードは、配信されたメールに記載されたリンクをクリックし、専用サイトから自身や家族の被災状況を選択して報告する方法だ。メール配信システムで日本のトップランナーであるユミルリンクもこのシンプルで簡単な安否確認サービスの提供を開始した。

同社マーケティング本部の五十嵐崇之氏は「元々、当社のお客様から緊急時に備えて安否確認でメール配信サービスを利用したいというお声を定期的にいただいていました。そこで、災害復旧の第一歩を確実にサポートすることに特化したメール配信システムの開発・提供をするに至りました」と力強く話す。さらに「他社より低価格。スピーディーで確実、簡単なサービスを提供できます」と続ける。

大規模送信のメールも遅滞なく

マーケティング本部の五十嵐氏は、確実な「一斉送信通知」という強みを示した

多くの企業がメール配信タイプの安否確認サービスを提供している現状で、なぜユミルリンクに要望が寄せられるのか。それにはメール配信を使った安否確認の”落とし穴”が密接にリンクしている。

落とし穴とは、大量のメールを一斉に送信したときに現れる。メール配信タイプの安否確認サービスでは、主に発災が確認されたと同時にメールが自動配信される。つまり、同一地域にある数多くの企業や団体から、ほぼ同時に安否確認のメールが配信されることになる。メールは仕事で使用する所属先のメールアドレスだけではなく、登録した多様なプライベートアドレスにまで送信されるため、全体で考えると送信されるメール総数は膨大な数になり、通信網のトラフィックが増大する。

このように一斉に大量のメールが送信されるときには、登録したアドレスが正しくとも届かないケースが発生する。当たり前のように使っているメールにあるこの落とし穴について、同じくマーケティング本部の大粒来(おおつぶらい)大樹氏は「個人間でのメールやり取りでは起こりにくいが、事業用などで大量のメールを一斉に送るときは様相が一変する」と説明する。

大量のメール一斉配信でも確実に届く仕組みを説明する、マーケティング本部の大粒来大樹氏

メールが届かない理由の一つは、受信側(ISP)が一斉送信をしている送信元に対してスパムフィルターを働かせてしまうことだ。これはメールの送受信者の目につかないが、相手の受信環境に応じて最適な形式でメールを送らなければ一定数のメールがブロックされてしまう。また、配信性能によっては遅延の問題も生じてくる。しかし大量のメールが一斉に送られたときにだけ、メール受信まで十数時間におよぶ遅延の発生や、場合によっては届かないという最悪な形で顕在化する。安否確認メールにこそ素早く確実な到着が求められるが、災害の発生に呼応して一斉に大量のメールが送信されるため、未達の可能性が高まってしまうのだ。

この問題に日常的に取り組んでいるのがユミルリンクだ。同社は企業のプロモーション情報やメルマガ、アンケートなどをメールで配信するシステム「Cuenote」シリーズを提供し、大量の一斉配信メールを早く確実に届ける技術を磨き続けている。この技術力が評価、信頼され成長を続けてきた。

写真を拡大 安否確認以外に、通常時の出欠確認やアンケートにも利用できる

メール配信システム「Cuenote」シリーズの契約数は1600件を超える。導入している企業や団体は情報通信や保険、製造、運輸、医療、サービス業など業種を問わず幅広い。ポイントカードやブログサービスを展開している企業など、数千万人規模の会員向けメールの配信を支えているのも同社だ。業界最高水準の技術を持つユミルリンクが配信するメールは月間40億通以上。1000万通以上のメールを1時間で送信できるスピードも持つ、日本のトップランナーなのだ。

スピーディーで確実、簡単なサービスであることを知っているカスタマーから、他社ではなく、ユミルリンクからのメール配信タイプ安否確認サービスのリリースが待望されてきた。

メールを早く確実に届けるための磨き続けている技術力の核心は、最適な配信状況の分析と改善にあるという。メールの到達率や到達時間を左右する受信側のメール処理傾向を的確に分析し、その特徴に合わせた適切な配信が必要になる。スピーディーかつ確実な送信には、受信側の仕組みに合った”届け方”が不可欠なのだ。

「非常に手間のかかる作業ですが、数多くある受信側(ISP)との通信状況を絶えず分析しています。この分析から最適なメール配信の方法を導き出し、細かく調整しながらの送信が、確実で早いメール送信を可能にしています」(五十嵐氏)。

この高い技術力はユーザーにさらなるメリットを生み出している。それは低価格での安否確認サービスの提供だ。初期費用なしの月額3500円から利用でき、この料金で50人にまで対応する。低価格を可能にするのは処理能力をサーバー機器などの能力に頼らず、能力自体を最大限にまで引き出すソフト開発に力を入れ、効率的な運用を実施できているからだという。

システムのメンテナンスはサービスを一時停止することなく実施され、メール配信システムの稼働率は99.99%を維持し続けている。東日本大震災でも同社のメール配信サービスは止まらなかった。近年でも、2016年の熊本地震や2018年の大阪北部地震の影響はみられなかったという。同社の安否確認サービスを待望する声は、これらの地震のときに安定したメール配信を体感した顧客から挙がったものだった。

緊急時に使うサービスだからこその配慮

ユミルリンクの安否確認サービス「Cuenote」は、メールという一般的な手段を使うため、Webブラウザを使ってインターネットにアクセスできる環境であれば、パソコンやスマートフォン、携帯電話、タブレットと、どのデバイスでも問題なく安否確認の入力が行える。そのため、導入が非常に楽で運用も簡単だ。スマートフォンのアプリのように、使える機種を限定されることはない。メール配信の管理も同様だ。

安否を回答する画面は見やすさを重視したシンプル設計で、入力も簡単にできる仕様だ。管理画面も迷いなくスムーズに使えるようにデザインされている。災害時に使われるからこそ、担当者不在のケースも想定しているからだ。これらの工夫に、災害時の利用に特化しない、多くの企業で採用されている日常使いの「Cuenote」シリーズで磨かれた、見やすいデザインと使いやすい操作性のノウハウが生かされている。

安否確認サービス「Cuenote」には必要な機能を備えている。気象庁が発表する緊急地震速報や警報に、エリア別で連動するメール自動配信に対応。自動配信をスタートさせる地震の震度や警報の種類も自由に設定可能だ。安否の回答も自動で集計される。

プライバシーへの配慮も欠かさない。安否確認メールの配信用アドレスに、仕事用に与えられているアドレスだけでなくプライベートで使っているアドレスの登録は珍しくない。だからこそ、登録されたプライベートアドレスをマスキングし、管理者から見えない仕様にした。

セキュリティ向上のため、自社開発の脆弱性診断を定期的に実施している。いざというときにための対策を怠っていない。

「一斉連絡機能も備えているため、鉄道の計画運休が事前に発表されたときのような急な対策の実施や、緊急対応の指示などを伝えることもできます。低価格でスピーディー、そして確実、簡単な弊社の安否確認サービスをBCP対策の第一歩として検討していただきたい」(五十嵐氏)。

(了)