「アレルギーのある赤ちゃん用の粉ミルクの備蓄は行われているでしょうか」と指摘する江原さん

東日本大震災や熊本地震の経験を踏まえ、災害時における粉ミルクの備蓄は、少しずつ自治体に普及しています。しかし、アレルギーをお持ちの赤ちゃんへの対応は、どのくらい行き届いているのでしょうか。アレルギー対応の粉ミルクについて、株式会社 明治 栄養営業本部 栄養マーケティング部 マーケティング1グループの江原秀晃さんに、現在はマンションを中心に「共に助け合えるコミュニティづくり」をてがけるHITOTOWA INC.の葛西優香さんが話を聞きました。

「東日本大震災や熊本地震発生後にもアレルギー対応商品の要請が各方面から寄せられました。南海トラフ地震や首都直下地震に備え、粉ミルクを備蓄している団体も少しずつ増えてきています。しかし、アレルギーのある赤ちゃん用の粉ミルクの備蓄は行われているのでしょうか」と指摘するのは、株式会社 明治の栄養営業本部 栄養マーケティング部 マーケティング1グループ江原 秀晃さん。

「発災してからの対応になると、到着が遅れてしまうことが予想されるほか、大量の粉ミルクを一度に用意したりすることが難しくなります」と江原さん。日頃から各自で、各自治体で備えておくことが大切だと実感します。

「アレルギーを持っています…」なかなか言えないこの一言。アレルギー対応の粉ミルクを備蓄にプラス!

「避難所では足りないものが多いため、「アレルギーがある」と言い出せない避難者も多い」と指摘する葛西さん。「アレルギーをもつ赤ちゃんは、全体の5〜10%。アレルギー対応の粉ミルクも備蓄の1つに加えていただきたい」と話す江原さん

東日本大震災後、「アレルギー対応の食糧が救援物資として届かず、非常に苦労した」との声が挙がっています。「白いごはんをずっと食べている子どもがいて、「どうしたの?」と声をかけると「アレルギーがあって何も食べられない」という返事でした。栄養が偏ってしまい大変だと強く感じました」という声もありました。避難所生活では、足りないものが多いため、個人の要望はなかなか言いづらい環境です。しかしアレルギー対応の物資が届かない中、アレルギーを持っている方の栄養は偏っていく一方になってしまいます。

その環境を乗り越えるためにも、各世帯でアレルギー対応食を用意しておくこと、そして各自治体でもアレルギー対応を考慮しておくということが重要になります。それは、粉ミルクでも同じです。江原さんは、「現在、アレルギーをもつ赤ちゃんは、全体の5〜10%と言われています。各自治体が開設する避難所などで想定される乳幼児の数に合わせて、アレルギー対応の粉ミルクも備蓄の1つに加えていただきたいですね」と、アレルギー対応の粉ミルクの重要性を指摘します。

「当社には、ミルク、卵、大豆のたんぱく質アレルギーなどの赤ちゃんに『明治ミルフィーHP』、ミルクアレルギーの赤ちゃんのためのアミノ酸ミルク『明治エレメンタルフォーミュラ』をご用意しています。医師の指示に従って、赤ちゃんの体質に合った粉ミルクを選んでいただくことが重要です」(江原さん)。

ミルクアレルギーの赤ちゃんのためのアミノ酸ミルク『明治エレメンタルフォーミュラ』と、ミルク、卵、大豆のたんぱく質アレルギーなどの赤ちゃんのための『明治ミルフィーHP』

45年、20万人以上の調査から導き出された『母乳サイエンス』

株式会社 明治の粉ミルクはアレルギー対応の商品も含め、45年以上もの研究を重ね、開発されました。

「『母乳サイエンス』と呼ばれる当社独自の研究を重ねています。1つ目が『発育哺乳量調査』。1972年以降45年間、赤ちゃんの体重・身長・便の状態などの調査を続けています。その調査回数は既に13回に及び、調査した赤ちゃんは延べ20万人以上。乳児用のミルクが新しく発売されるたびに、その栄養設計の妥当性が期待通りであるかを乳児の発育で確かめ、次の製品において、成分を母乳にまた一歩近づけるという姿勢で取り組んでいます。

2つ目は、1979年、1988年〜1999年、2012年〜2014年に延べ4000人以上の大規模な母乳収集を行い、分析調査を進めた「母乳組成調査」。1988年~1999年では日本全国4243人の母乳を集め、その1つひとつを分析し、たんぱく質濃度、エネルギー濃度などの基本的な栄養素に関することなど、より詳細な情報を得られました。2つの調査からなる「母乳サイエンス」から得られた情報は、『明治ほほえみ』の基本設計や各成分の濃度設定などに活かされています」(江原さん)。

独自の研究方法により開発された株式会社 明治の粉ミルク。大切な赤ちゃんのために、災害が起きてから焦って取り寄せ、届くまで辛い思いをするのではなく、日頃から環境を整えておき少しでも混乱を抑えたいですね。個々人が備えることはもちろん、町全体で支え合える状態を目指して今一度「備蓄品」を見直しませんか。

地域でお互いに助け合って過ごすために、避難所などでは誰もがミルク作りを担う可能性があります。次回は、家族の誰でも簡単にできる『明治ほほえみ らくらくキューブ』の作り方のコツを江原さんに伝授していただきます。

(了)
 

質問 現在、あなたの組織では災害対策としてアレルギー対応の粉ミルクを備蓄していますか?