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昭電とリスク対策.comは9月16日、企業として必要とされるこれからのBCPや新たな災害対策のスタンダードについて徹底解説するオンラインセミナー特別企画「気候危機の時代をどう切り抜ける?〜今、企業に問われているハイレジリエントなBCP対策」を開催した。「雷害」「地震」の2つの自然災害に、「監視管理」を加えた3つの分野のリスク対応について、有識者が対策のポイントを解説するとともに、昭電が具体的なソリューションを提案した。

キーメッセージ

持続的な成長には自然災害への見識、知力の結集が必要

加藤 雅也氏
  • 株式会社昭電
  • 常務執行役員
  • 事業推進部長

加藤 雅也

昭電の常務執行役員・事業推進部長を務める加藤雅也氏は、セミナー開催のあいさつに登壇。コロナ禍での経済活動環境について「もろく、不確実で、未来への推測が困難であることが非常に痛感された」と振り返る一方、「快適で持続的な成長を維持する環境を我々が獲得するには、さらに強い自然環境の維持への関心と、自然災害への見識、そして知力の結集が必要」と強調した。対策を進めるうえでのキーワードとして「ハイレジリエンス」と「監視・管理」を上げ、同社が提供していくソリューションの方向性を示した。その上で、「1965年の創業以来、57年にわたり、安全と信頼を提供するというメッセージを持って、事業活動を営んできた。本日のセミナーが皆様の今後のBCP対策の一助となれば幸いだ」と思いを伝えた。

基調講演

異常気象の常態化への対策は「よく知ること」

セミナー最初のセッションとなる基調講演に登壇した気象予報士・森田正光氏は、「異常気象の常態化にどう立ち向かうか」という主題の問いに対し、「答えは、はっきりしている。最初にやることは、まず、"よく知る"こと。どんな場合でも、敵を知れば百戦危うからず」と述べて、異常気象の仕組みを中心に解説した。

総雨量は従来の2倍超に

森田 正光氏
  • 気象予報士

森田 正光

 

森田氏は冒頭、気象学者の真鍋淑郎氏が去年、気象学者として初めてノーベル物理学賞を受賞したことに触れ、「真鍋先生にノーベル賞が与えられたということは、今起きている異常気象がのっぴきならない、大変なことになるという世界的なメッセージ」と述べ、真鍋氏の温暖化問題における業績が「今日の一番のポイント」と強調した。

森田氏は、1時間に80ミリ以上の「猛烈な雨」の発生回数も2006〜15年と1976〜85年を比較すると1.8倍に増えていること、その背景として、温度が高くなり、水蒸気が飽和しやすい状況にあることを説明。特に総雨量は従来5万〜10万ミリであったものが、近年は平成30年7月豪雨のあった同年7月上旬に20万8035.5ミリ、そして去年8月11日〜18日に28万ミリ超となり、「今までとフェーズが変わった」と強調した。さらに温度の上昇も地球全体で100年前に対して1.2度、都市部である東京では3度高くなっており、今後さらにこの傾向が加速していくと警鐘を鳴らした。

森田氏は、この変化を「動物は逃げられるが、植物は逃げられない」と述べ、植物から始まる食物連鎖が人間にも影響することを強調。「温暖化の本質は、気候変動によって生態系が変わること」であり、「生態系が変わることによって我々自身の生育環境全体が崩れていく」ことが「一番心配なシナリオ」と述べた。

「温暖化の問題は、99%以上の確率で人間の活動による」とのIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の報告に言及しながらも、「オゾンホールも解決したように、温暖化も解決できると思う。ただ、それには世界のことをよく知らないといけない」と、「よく知る」ことの必要性をあらためて強調した。

雷害対策

風力発電で求められる維持管理が難しい立地への対応

2つ目のセッションでは、中部大学工学部教授の山本和男氏と、昭電の執行役員・技術開発部長である柳川俊一氏による「風力発電の雷害対策」についてのトークセッションが行われた。また、昭電の雷対策システム部次長を務める鈴木淳一氏が「SPD故障監視システムの有用性」を解説した。

IoT活用で点検の負担を軽減

山本 和男氏
  • 中部大学 工学部 教授

山本 和男

トークセッションの冒頭、昭電の柳川氏は、近年の気象状況と雷の変化について説明。夏季と冬季の落雷数の違いを地図で示し、「夏季雷に比べて、冬季雷による事故は甚大になっている」と説明した。

柳川氏の説明を受け、中部大学工学部教授の山本氏は、「冬は雷雲が低いので高い建物に落雷が集中する」ことや「風況の良い場所というのは天候が荒れる場所」であるため、「日本海沿岸地域に数多くの風力発電設備が建っており、冬季雷によって多く被害を受ける傾向がある」ことを指摘した。

山本氏は、風力発電設備が落雷を受けた時の対応の課題として「被害を目視点検で見つけることができず、通常運転に戻ってから風車が大きく壊れたという事例も発生している。目視点検だけでは見つけることができない被害もあり、そこを改善していかなければいけない」と述べた。

柳川 俊一氏
  • 株式会社昭電
  • 執行役員
  • 技術開発部長

柳川 俊一

この課題に対応した将来の風力発電監視システムとして、山本氏は、SCADA(遠隔制御監視システム)、CMS(状態監視システム)、LDSに加えて、外部からのカメラ撮影、定期点検の作業データを組み合わせ、AIなどで自動的に総合判断できるシステムを確立する必要があると説明。一方、柳川氏は、同社が提供する総合監視プラットフォーム「Kebin Cloud」の活用を有効な対策として提案した。

山本氏、柳川氏によるセッションに続き、昭電の鈴木淳一氏が「SPD(Surge Protective Device)故障監視システムの有用性」について解説した。JIS規格では、SPDの機能を維持するため、目視点検を2年に1度、精密点検を4年に1度、重要な施設の場合は半分の周期での実施を推奨している。一方、従来の点検方法では、高所や洋上など、容易に立ち入れない場所での作業に労力とコストがかかる。

鈴木 淳一氏
  • 株式会社昭電
  • 雷対策システム部
  • 次長

鈴木 淳一

鈴木氏は、昭電が展開する通信信号用SPD故障監視システムの特徴として、「IoTの無線デバイスを用いることで、新しくネットワークを構築することなく、LPWAやLTEの通信技術によって、SPDの情報をクラウド上の監視システムに送信できる」と説明。さらに、同社独自のIoTプラットフォーム「Kebin Cloud」を組み合わせてデータを取得することで、「施設の落雷環境の分析材料となり、さらなる雷対策の検討に役立てることができる」とアピールした。

地震対策

被災を想定した都市の仕組みを

3つ目のセッションでは、埼玉大学理工学研究科環境化学・社会基盤部門教授の齊藤正人氏と、昭電の地震対策システム部部長を務める村井和男氏による「地震対策」についてのトークセッションが行われた。

対策の落とし穴にも注意

齊藤 正人氏
  • 埼玉大学
  • 理工学研究科
  • 環境科学・社会基盤部門 教授

齊藤 正人

今年1月に公表された内閣府地震調査委員会のデータによると、南海トラフ地震が今後40年以内にマグニチュード8~9クラスで発生し、発生確率がこれまでの80〜90%から90%程度まで引き上げられた。また、首都機能麻痺が懸念される首都直下地震のおそれもあり、地震対策が急がれる。埼玉大学の齊藤氏は、「レジリエントな都市をどう作っていくか」と問題を提起。現代社会が「経済性、効率性、利便性」を追求するなかで、都市が余裕を持たず、融通がきかず、複雑なシステムのために脆弱で、復旧も長期化してしまう現状の課題を指摘し、目指すべき「レジリエントな都市」の定義として、「自然災害に対して粘り強く都市機能を維持し、致命的な被害を受けない。さらに、被害を受けたとしても早期に回復することができる」という方向性を示した。

齊藤氏は、レジリエンス力を高めるポイントとして、社会学者アンドリュー・ゾリが掲げた「危機に対する5つのレジリエント戦略」を紹介。(1)十分な備えを持つ、(2)物資の調達先を複数持つ、(3)正確で新しい情報を収集する、(4)システムの構成要素が十分な自律性を持つ、(5)一部の混乱が全体に波及しないように防火帯を設ける、という5つの戦略がBCPなどに適用されることで、「より強い、レジリエンスを持った計画が立てられる」との考えを示した。

村井氏は、レジリエンスとBCPの関係について、事業の操業度と災害前後の時間経過のグラフを用いて説明。自然災害など緊急事態が生じた際に「対策を怠って何もしていない場合、廃業や事業縮小のケースもある。被害を最小限に抑え、そこからいかに早く復旧するかが重要なポイント。レジリエンスとBCPは切っても切れない関係だ」と述べた。

村井 和男氏
  • 株式会社昭電
  • 地震対策システム部 部長

村井 和男

 

齊藤氏は、レジリエントな都市創生に向けた技術的な対策・ポイントとして、「5つの戦略」の4つ目「自律性」に着目して研究を進める「プログラマブル・ストラクチャ」を紹介。「危機の際に、インフラシステムや周辺構造物が、事前にプログラムされた動作を自動的に行い、それが人の防災活動をサポートする」という”レジリエント構造”であると説明し、その一例として、鉄道総合技術研究所とともに考案した、地震の際、緊急輸送道路側に建物が倒れて復旧活動に支障をきたさないよう、建物の倒壊方法を制御する技術について解説した。

さらに、齊藤氏は、地震対策における建物の耐震性の影響について、耐震構造と免震構造の特徴を比較して解説。「転倒・落下・移動の率が他の構造と比べても著しく低いということで、BCPを考えたときには、やはり免震構造に軍配が上がる」との考えを示した。

齊藤氏の説明を受けた村井氏は、企業のデータセンターなどに見られる免震構造体で、サーバー機器などを設置する場合の注意点を解説。「免震建屋の場合、地表面の地震動を各階で減衰させていくのが基本的な構造だが、システムラックを設置した場合、ラック自体の中で震動が増幅し、マウントしている機器自体の入力加速度が増えてしまうことがある」と述べ、免震建屋での鉛直方向の揺れを想定した対策が必要と指摘。「免震建屋の中に部分的に上下対策をすることで三次元対応が可能になる。地盤の情報を得た上で、適切な対策を行うのが有効」との考えを示した。

最後に、齊藤氏は、切迫する大規模地震も含め、今後備えておくべき地震動について解説。プレート境界地震の震源から数100キロ離れたところで観測される、非常にゆったりとした「長周期の地震動」や、表層断層の近くで長周期の地震が観測される「フリングステップ」などを挙げ、「いろんな地震対策をしていかなければならない」と警鐘を鳴らした。

監視管理

変化する災害への対応にICTを活用

4つ目のセッションでは、ジェネテック・ジャパン株式会社のカントリーマネージャーを務める室川豪氏と、昭電の執行役員・情報機器システム部長(兼技術ソリューション推進室長)である八木祥人氏による「監視管理」についてのトークセッションが行われた。

監視は安全・安心の基本

土屋 信行氏
  • ジェネテック・ジャパン株式会社
    カントリーマネージャー

室川 豪

八木氏は、昭電の情報機器システム部が「ネットワーク」と「セキュリティ」の分野にフォーカスし、要件定義から設計、メンテナンスといった、エンジニアリングサービスを含めたシステムの提供を行っていると説明。セキュリティ分野ではセンサーや入退室管理システムなどを提供する中で、さらに強固なセキュリティ・システムを提供するため、ジェネテックの総合セキュリティプラットフォーム「Security Center」を取り扱っていると述べた。

ジェネテックの室川氏は「Security Center」による監視管理について詳細に解説。同システムの特徴の一つとして、組み合わせる監視カメラとストレージは、ブランドを問わず「Windowsサーバーに繋がればどのものでも使える」という拡張性を強調。また、ビデオ監視システム(VMS)と入退館システムが統合された製品としては「Security Center」が世界で唯一であり、入退館システムに使用するデバイスについても、一般的な規格であるウィーガンド(Wiegand)またはOSDP(Open Supervised Device Protocol)のプロトコルに対応していれば使用できると述べた。さらに、入退館システムの運用例を示した上で、特徴として「入室の状況と履歴が一眼で確認できる」こともアピールした。

また、カメラが撮影した映像データだけでなく、映像上で検出された事象のメタデータも蓄積・報告されるので、「カメラとSecurity Centerを繋ぐだけで、後解析が追加費用なしでできる」、「人の目で録画映像を見るのではなく、非常に解析しやすくなった」と強調した。さらに、映像解析サーバとの連携により、災害時の転倒者検出など、複雑な解析が必要な場合の仕組みも提供可能で、「連携によって新たな仕組みを作っていきたい」との考えを示した。

  • 株式会社昭電
  • 執行役員
  • 情報機器システム部長
  • (兼 技術ソリューション推進室長)

八木 祥人

八木氏は、「Security Center」を活用したソリューション提供の具体的なアイデアを紹介。冠水センサーと監視カメラを連携させる仕組みをはじめ、太陽光発電とリチウムイオンバッテリーによってモバイルルーターと監視カメラに供電する「モバイルカメラ」や、ドローンとモバイルルーターのセットを活用して「Security Center」に転送する仕組みも紹介した。そのほか、自治体による避難所の運営に「Security Center」を活用することで、所内の安全監視や入退所管理の効率化・省力化、複数箇所の避難所の統合管理などが可能であると説明した。

昭電の八木氏は、ジェネテックの「Security Center」について「非常に汎用的に使えるシステム」とした上で、その活用に向けて「まだまだ知見が得られていないところもある。できるだけお客様の声を聞いて、メーカーとして肉付けし、より現実的なBCP対策を提案していきたい」との考えを語った。そのほか、2022年10月の事業所移転に合わせてリニューアルした昭電のデモンストレーションルーム「ソリューションラボ」も紹介。「机上で説明してもなかなか説明しきれないものを実際に触っていただいて、お客様の事業領域の中でどういう使い方ができるかを感じ取っていただく。いろいろご利用いただければと思う」とアピールした。


株式会社昭電

https://www.sdn.co.jp