■タイミングと居場所
個人が業務を続ける上で、停電対策に役立つ製品 には、例えば携帯電話の充電器をはじめ、ライトや ラジオなどさまざまなものがありますが、停電が起 きるタイミングと、自分がその時にいる場所によっ て対策を考える際の条件が変わってきます。  

例えば、夜だとすると、基本的に周りは真っ暗と 考える必要があります。月明かりしかないか、せい ぜい車のヘッドライトしかありません。外出でよそ の土地や会社などにいる場合には、土地勘がなく周 辺の環境もわからないので、自分で行動することは 難しいでしょう。  一方、昼間なら、周りは明るいので、人の行動は 活発で、駅ターミナルに人が集中して混乱が発生し たり、多数がいっぺんに携帯電話を使う、インター ネットへアクセスすることなどで、つながりにくくなることなどが想像されます。

■想定される影響(困ること)
【機能停止】
次に、想定される影響について考えてみます。  事業所内なら、エレベーターをはじめ電気で動くものは、当然止まります。照明、FAX、PBX(電話交換機) 、ネット接続機器、空調、など事業所内のほとんどのものは何らかの電気を使っているので、止まります。  

最近のトイレは水洗も電動になっているで、水を流せなくなります(旧式ではレバーで水を流してい たのが、最近はリモコンで動きます) 。当然、洗浄機能も止まります。  

机の上の PC は、ラップトップ(ノート型パソコ ン) なら内臓のバッテリーで動きますが、 デスクトップはいきなり止まります。電話機も最近は電気で 様々な機能を提供しているので、 使えなくなります。 ONU(光回線終端装置)やルーターも稼働しなく なるため、LAN やインターネット回線も使えなく なると考えられます。  

外部でしたら信号も消えますし、電車も一時的に は運行を見合わすため、公共交通網は混乱し、さら にスーパーのレジや金融機関の ATM、その他さま ざまな街の機能がストップすることになります。

【故障発生】
いきなり停電することで、機器に不具合が起きることも考えてみる必要があります。デスクトップ PC の 場 合、 い き な り の 停 電 で HDD や回路の故障などで、電力が復旧しても使え なくなる可能性がありますし、復旧するときの通電 で故障することもあります。  PC 以外でも、電子機器は急な停電や復電によっ て、 故障をすることがあります。一般的なビルなら、 年に1度程度は電気設備の点検で停電することがあ るでしょうが、その時に停電前にスイッチを切って おくような機器は、停電による影響があると考えて おくのが妥当でしょう。

■目的を考えましょう
さて、こうした停電対策に備え、個人としてどの ような製品を備えておくことが有効なのかを本稿で は考えてみたいと思います。  

基本的に、停電に役立つ製品というものは、あま り普段は使わないものが多いと言えます。普段使わ ないので、故障をしても気づくことがなく、いざと いうときに使えなくなっているのでは困ります。し たがって、大前提として「安定性のないものは購入 しない」ことが大切です。安いもので形だけ揃える ことはあまりお勧めしません。ある程度のコストを かけても、安定した製品を選ぶことが重要です。た だ、やみくもにさまざまな製品を揃えれば、莫大な コストがかかってしまいますので、必要な目的を しっかりと決めることが大切です。

■停電対応策
停電発生のタイミングと、 自分がいるだろう場所、そして停電によって考えられる影響から、具体的に 必要になる製品を選んでいきます。 下記は一例です。

【照明の対応】  


発災が夜であれば、会社あるいは外出先から帰宅 や帰社をする道中は真っ暗になることを想定します。

昼間であっても、外に面していない非常階段では、非常灯が一定時間を経過した時点で消灯してしまい 真っ暗になるでしょうし、または、エレベーターの 中に閉じ込められた場合などにも照明は必要になり ます。  

以上の目的であれば、下表の①∼③の小型軽量の ライトが便利です。  

夜間の停電で、デスクで仕事や作業をするのであれば、ランタン型や強力型のライトも必要になるでしょう。この目的であれば、④∼⑤が便利です。  

なお、照明にはローソクも候補ですが、十分に安全を確保して、利用する必要があります。特に停電時に室内で使う場合などには、火災でも 119 番に 電話できないなど、二次災害に注意が必要です。災 害用のローソクも販売されていますが、ライターか マッチを一緒に保管しておくことが必要です。 なお、 災害時には、ローソクの明かりが精神的に安心をも たらす、という意見もあります。  

ライトについては、目的に応じて、以下のような 目安になります(LED 型懐中電灯が対象です) 。


■電話もインターネットも通じない


【携帯ラジオ・TV などの情報対応】


停電にともないテレビは視聴できなくなり、情報収集が難しくなります。事業所内なら電話が通じな くなりますし、PC も使えなくなる可能性があり、 さらに携帯電話もキャリアによって異なりますが、 アンテナ施設のバッテリー容量は1時間∼3時間程 度のものがほとんどのため、数時間後には使えなくなることが考えられます(最近は長時間のバッテリーに更新しているようです) 。インターネットへ の接続も先ほども書いたとおり、ONU が止まれば 使えません。そのような状況で、情報を入手するに は、乾電池などで動くラジオが便利です。

【携帯電話やスマートフォンの停電対応】
停電そのもので、携帯電話もスマートフォンも直 接の故障などの影響が出ることはありません。 ただ、 停電でバッテリーの充電ができなくなるので、バッ テリーがなくなれば使えなくなるというのが問題です。したがって、バッテリーをできるだけ長持ちさ せて切れないようにすることと、普段のコンセント から充電する以外の方法で充電をする方法を用意す る必要があります。

スマートフォン は、 充 電 す る の に 携 帯 電 話 (700mA 程度)に比べて多くの電力(1400mA ∼ 1800 m A 程度)が必要なものがある上に、新機種 は充電規格が新しくなっているので対応が間に合わ ないようです。スマートフォンの場合には対策用品 の購入の前に、自分の機種が使えるか説明書で確認 するとか、実際に試して確認することをお勧めします。

■携帯・スマホ使用上の注意点
1.【不要機能を止める】  
バッテリーの消費を抑えることが、 まず必要です。 以下の方法で予備電池があったとしても、できるだけ不要な機能は止めて、バッテリーを長持ちさせましょう。  液晶の明るさを暗く、スタンバイ(操作しないと液晶を消す)を短く、 Wi-Fi ・Bluetooth・GPS を停止、メールやTwitter などの自動通知を停止、など。 ワンセグや音楽再生などは、もちろん使わないこと です。情報の入手は、前述の携帯ラジオなどを活用 しましょう。

 2.【電源を切る】  
携帯電話会社の基地局が停止したりしてサービス が止まった時、端末に電源が入っていると、電波 をとらえようとしてバッテリーを消耗しますので、 いっそのこと電源を切ってしまいましょう。端末は 圏外の表示になるので判断できます(災害時には、 緊急地震速報なども受信できなくなる場合もあるの で、余震の発生などには注意が必要です) 。  

なお基地局やアンテナ基地は蓄電池を装備してい るので、施設が損壊などして停止する以外では、停 電発生後、1時間から数時間は機能しています。現 在、各メーカーでは 24 時間対応を進めています。 しかし多くの人が使おうとするので輻輳 (ふくそう : 一度に多数の通信要求が起きて、道路での渋滞のようになり、つながりにくくなること)が発生して、 つながらない状況が発生します。

 3.【予備のバッテリー】
端末に付いているバッテリーの予備を用意しま す。各携帯会社の会員制度に加入すると、安価に新 しいものが入手できるようです。ただ、予備バッテ リーと電話機の充電を同時にすることができない場 合が多く、バッテリーを取り替えて2回充電する必 要があります。また、予備バッテリーを携帯する場 合には、小さなビニール袋などにいれ電極を保護しておくと良いでしょう。

 4.【外部バッテリー】
充電式で何回も利用できるリチウムイオンを使った電池は、容量も大きく、複数の機器への充電が可能なので、大変便利です。基本的には、USB 端子 でこの電池から出力して、 端末を充電するのですが、 いくつか注意が必要です。1)端末側の端子と同じ で、かつ充電用の配線が同じか、2)電池の出力電 力が端末の充電に必要なだけの出力があるか、確認 しておく必要があります。  

端末の機種によっては、端子はミニ USB やマイ クロ USB でつなげられても、内部の配線が違う場合や、つなげられるのに出力不足で充電ができないことなどがあります。これは外から見たり、説明書 の記載だけではわかりにくいので、購入前に、製品 の HP で確かめたり、実際に試してみるのが良いで しょう。  

三洋の USB 出力付リチウムイオンバッテリー 「エネループ」が有名でしたが、パナソニックと合併し たことで、エネループは生産が終了しています(一 部の商品はまだ購入が可能なようです) 。  

パナソニックの「無接点対応 USB モバイル電 源 Charge Pad QE-PL301-K 容 量 8100 m Ah」 USB 出力 DC5V 1.5A(MAX)(4000 円程度)だと、 スマートフォン(1400 m Ah)を使い切った状態か ら 3 回程度フル充電できるようです。バッテリーを フル充電するには、AC 電源で 10.5 時間、USB で 21 時間かかりますので、普段から充電を心がける 必要があります。  

端末メーカーからも販売されています。例えば iPhone なら、MiPow Power Tube 3000 ポータブ ルバッテリー(容量 3000 m Ah)で 2 回程度充電できるようです(4480 円) 。

 5.【乾電池パック】
様々なメーカーから乾電池を使って端末を充電す るパックが発売されていますが、今回の災害でもすぐに店頭では売り切れてしまいましたので、事前に 準備しておくことが必要です。  

乾電池式の場合には、外部バッテリー(上記4) と違って、電池の使用本数によっては端末のバッテ リーを使い切ってしまうと充電が難しいようです。 バッテリーが切れる前に早めに充電するか、電話を使うときに接続して、バッテリーの消費を抑えるよ うな予備的な利用にしましょう。  

概算ですと、単三電池4本でスマートフォンを2 回までフル充電するのは、難しいようです。また携 帯電話なら、単三3本で連続通話4時間程度可能で す。

 6.【シガーライター】
一般的には端末の標準の付属品ではありません が、端末に適応したケーブルで(2000 円程度) 、車 のシガーライターから充電することが可能です。  

車のバッテリーを利用するので、エンジンを回して充電すれば安心ですが、 ガソリンも消費するので、 注意しましょう。車で移動するときに、一緒に充電すれば、浪費を避けられるでしょう。  

なお商品によっては、出力がすこし弱く、充電に時間がかかったり、アプリを使いながらの充電では 対応できない場合もあるようです(停電の場合には お勧めではありませんが、災害時なら壊れて放置してある自動車のシガーライターを借用することも可能かもしれません) 。

■PC の停電時の対応
デスクトップ PC で HDD(ハードディスクドラ イブ)を使っているものは、突然の停電で HDD が 故障する場合があります(動作の途中で急停止をす ることで発生) 。最近の機種では、SSD(ソリッド ステートドライブ)を使っているものも増えてきて います。 この場合には機械的な故障にはなりません。 HDD が破損したりするような事態では、中のデー タを取り出すことができなくなります。また、作業 中のファイルなどが保存されず、作業をやり直す必 要があります。このように、 デスクトップ PC では、 突然の停電が障害を引き起こす可能性があります。  

このような心配には、UPS(無停電電源装置)を 付ければ、停電しても UPS の作動時間内(数分程 度) に手早く作業中の処理を完了させ、 正常にシャッ トダウンさせることで対策できます。しかし、PC の個別ごと、あるいは数個ごとに UPS に接続する必要があり、コストが掛かることになります。また、 UPS の蓄電池容量で、 作動時間が決まりますが、 容量はコストに比例し高価になります(UPS の項 参照) 。  

また、HDD が読めなくなった場合でも、後日、専門業者に依頼すれば、中のデータを取り出して データの修復をすることも可能ですし、停電すれば HD が故障すると限ったことでもないので、UPS の 投資効果は利用者のニーズによって異なります。  

一方、ラップトップは、本体はバッテリーで作動するので、停電しても直接の影響は考えられません。 しかし、残りの作動時間は充電の程度に左右されます。常時電源につなぎ利用しているのであれば、ほぼフル充電の状態でしょう。 しかし、 節電対策でピー ク時間にわざわざバッテリーで作動させたりしてい ると、そのタイミングで停電したら残った電池容量 しか使えなくなります。 いずれにしても、 バッテリー を長く使う必要がありますので、PC に付属のソフトなどで、節電モードにすることが必要です。ネットへの接続は必要な場合だけにしたり、画面の明 るさを暗くする、消音、Bluetooth や Wi-Fi を止め HDD へのアクセスを減らす、など可能な限りの節電機能を利用することが、バッテリーの消耗を減らします。予備バッテリーがあれば、 常時充電をして、 使えるようにしておくことも重要です。また、長く使っているバッテリーは性能劣化しているので、新しいバッテリーに交換すると性能が戻ります。  

その他の対策は、常時大型の蓄電池に接続してお くことも可能です。そのようにすれば、停電しても その畜電池の容量以内(数時間程度)は、PC を使 うことができます(蓄電池の項参照) 。  

それ以外には、発電機を用意して電力を供給する方法もあります。

■通信機器の停電時の対応
通信で必要なのは、まず電話でしょう。最近の電 話機は、無線子機とか留守電とか様々な機能があり ますが、これらは停電で使えなくなります。また、 インターネットを使った IP 電話はルーターなどを経由し、これらルーターなどの機器も電気で動くの で、停電で電話が使えなくなります。同様に交換機(PBX)も停電で停止してしまいます(短時間 の蓄電池は装備されています) 。しかし、停電でも NTT の固定回線なら電話は使えます。いわゆる昔の黒電話は、電話局から通電されるので、停電でも 使うことができます。家庭で、昔の電話回線をまだ 使っているのなら、その電話機は使える可能性が高 いと言えます(電話機の電気で動く機能は使えません。通話できるかは、電気を抜いて時報 117・天気 予報 177 などで試してみると分かります) 。事業所でなら、PBX につながっていない電話線を見つけてみるのはどうでしょうか。昔設置した FAX など は、直接つながっている場合もあります。  

これらの NTT 固定回線を使うには、黒電話のような単機能電話機(電気を使わない、電話線に繋げ るだけ)が必要です。現在でも 2000 円程度で購入 ができますので、直通回線の数に応じて用意してお くと良いでしょう(もし、購入するのなら、目立つ 色を選択するとわかりやすいので、便利です) 。

もう1つの通信は、インターネットです。前述のように、インターネット回線は、ルーターや NCU など終端機器に電気を使っています。残念ながら電 話機のようにはいきませんので、蓄電池などを使っ て電力を供給する必要があります。そのため、例 えば、NTT 東日本では家庭用に、ひかり電話停電 対応電源アダプターと電池ケースをレンタル(月額 525 円)での提供を始めたそうです(H24・2・29 発売) 。これで連続通話約 2 時間対応し、 かつスマー トフォン等への充電にも使えるようです(蓄電池の 項参考) 。

■知っておくと便利です

【LED】  
LED は従来の電球とは違い、作動には電子回路 が必要です。したがって、製品の安定度が問題にな ります。残念ながら、廉価なものでは故障の発生が報告されています。複数の LED ライトがついてい る場合には、故障による全消灯の可能性は少なくな ります。一方価格は高くなりますが、高輝度 LED は安定性が高い傾向にあります。

【ラジオライト】  
ライトとラジオを2つ持つのは不便だと考える方 には、両方の機能の一体型が発売されています。大 きさが大きくなりますが、乾電池と手回し充電の 兼用ができます。残念ながら、スマートフォンや iPhone などには対応していない場合があります。

【手回し式充電器】  
乾電池が入手できないなどの事態を考えると、手 回し式の充電器が必要と一般的には言われます。し かし、下記のように小さな発電機では、なかなか思 うような効果が出ないのが現実です。手回しは、あくまでも補助的なものと割り切ることが、現実的なようです。

■発電能力


小さな発電機を手回しても発電能力は規格以上に上 がらないので、早くまわしても発電量が増えるわけ ではありません。また回転がばらつくと、所定の時 間の手回しをしても十分な蓄電はできないことにも なります。一定のスピードで長くまわすことが、一番効率が良くなります(1 分に 120 から 150 回など 機種による) 。

■蓄電能力
手回しの発電を蓄積するのが内蔵の蓄電池です。 フル充電するには、4 時間程度も手回しする必要が あるようです。  

一方、蓄電池容量が次ページの出力時間も制約し ます。多くの電力を出力すると、当然早く蓄電した 電力がなくなり、また充電するということになります。  

なお、蓄電池はカラの状態で放置するのは性能の 劣化につながるので、1年に数回程度充電すること が推奨されています。

■出力能力
蓄電された電力を機器に送り出す力です。既に説明のとおり、携帯電話には充電できてもスマート フォンの大容量に充電が難しい傾向にあります。一般的に、手回し充電器の出力はあまり大きくないの で、事前に試しておくと良いでしょう。


■総合能力


以上のように、手回し式充電は、頑張って回しても発電力は増えませんし、携帯電話ですらフル充電 をすることは難しいようですし、一部のスマート フォンや iPhone などを充電するのも難しいのが現 実です。  

手回しでフル充電した時と、電池を使った時の利用時間は差があるので注意が必要です。  

商品説明書の通り、手回し充電器は短時間の利用に使う以外には、あまり実用的とは言えません。ラ イトを使うとしても、思いのほか早く明るさがなくなり、実用の明るさを維持するのは、難しいです。 ラジオも同様で、頻繁に手回しをしないと、なかな か期待した長さの時間は維持しないようです。した がって、手回し充電をあてにするのではなく、あくまでも補助的な機能として考えて、できるだけ電池を使うのが現実的です。

【乾電池】

従来、乾電池は保存が長くできないので、備蓄には不便だと言われていました。しかし、最近の乾電 池は5年以上保存が可能になっています。適当な保 存環境であれば、液漏れやその他の故障はなくなっ てきています。前項のように、手回し充電は補助的 な手段として、乾電池の必要な数を備蓄しておくのが便利です。乾電池は電気容量も出力も高く、安定 して供給してくれますから、最も信頼のできる手軽 な電源と言えます。

【UPS】
UPS(無停電電源装置)は停電後の電源を供給す るためのものではなく、停電が発生した瞬間に中断 することなく短時間電力を供給して、正常にデスク トップ PC などを停止させる時間を提供することを 目的にします。単に PC の故障を回避したいのであ れば、UPS が適当です。  

単純に言えば、UPS は小さな蓄電池ともいえます。したがって、蓄電池に比べて大きさも重さも小 さくなります。  

機種の選択は、正常停止まで 5 分もあれば十分作 業できるでしょうから、 対象の PC の電力を調べて、 必要な製品を決めるのが経済的です。PC を複数台 接続することを検討するのも、設置場所等の問題で 有効だと言えます。  

PC の電源には、力率改善回路(PFC)内蔵電源 が使われ始めていますので、PFC への電源供給は 正弦波交流が適しています。矩形波交流を供給する と問題が発生することが懸念されますので、今後購 入をするのであれば、正弦波式がお勧めです。 【畜電池】  蓄電池は、平時電源から充電をして、停電時に電 源として利用します。深夜電力を利用して充電して おき、昼間のピーク時に利用すると、平時でもピー クシフトに貢献できます。  

出力以上の機器には使えないので、利用目的に注 意が必要です。蓄電池の製品例 A (以下) だと、300W 以上の機器(大型 TV、冷蔵庫、デスクトッ プ PC など)は、原則使えません。また消費電力が 300W 以下でも、機器のスイッチを入れると立ち上 がりの電力を余分に必要とする場合があり、その場 合も使えません。製品例 B は大型の蓄電池で、家 電を動かすことも可能ですが、 価格が高くなります。 目的を明確にして、どの容量の蓄電池が必要になる か、専門家に相談して購入しないと、いざ使おうとすると使えない悲劇になり、無駄な結果になってし まうでしょう。  

ちなみに、発電機との違いは、蓄電池は最大出力 以下の電力を使っている場合は利用時間を延ばすことができますが、 発電機は利用の電力にかかわらず、 定格の電力を発電しますので(2段階程度の調整は あります) 、一定の燃料を消費してしまうことにな り、発電時間が延びることはほとんどありません。

【いったん機器のスイッチは切る】  

停電したら、念のために電子機器は電源スイッチ を切っておきます。復電後に、個別の機器のスイッ チを入れることで、復電時の過電流などの被害から電子機器を守ることができます。

■1点金ピカは無用
多くの場合の対策と同様ですが、一部分だけを対 応したり、一部分だけに高機能な対応をするよう な、全体のバランスを考えない計画はお金の無駄になります。例えば、目的が「停電時でも PC を使って仕事をしたい」というときに、暗闇の中、苦労して PC で作業を終えた資料をメールで送ろうとした ら送れない、プリントアウトしようとしてもプリン トできない、ということにならないように、考える ことが必要です。PC だけ蓄電池につなぐと、このような結果になります。必要な機器全部をつなぐよ うな計画を立てて、初めて目的の達成が可能になり ます。  事業所内では、常にどこに何があるかわかるように整理整頓しておくことが重要でしょう。また定期 的にしっかりと電気がつくのかなどを確認していく ことが大切です。
※注意:文中の指摘や見解は弊社の独自の調査や販売実績などか らの評価であり、全ての商品を評価した結果ではありません。