2014/09/25
誌面情報 vol45
甘い想定では生き残れない
スーパー豪雨にどう備える?!
企業・自治体の対策
“異常”という言葉しか見当たらない。
「7月の台風では最強レベル」と言われた台風8号の襲来に続き、8月には京都府福知山市や兵庫県丹波市で記録的な集中豪雨が発生。その直後に、今度は広島市を継続的な豪雨が襲い、大規模な土砂災害により70人以上が犠牲になった。そして、東京でもつい先日、1時間あたりの雨量が100㎜を超える猛烈な豪雨が降った。少し前まで、突発的で局地的な豪雨は「ゲリラ豪雨」と呼ばれていたが、近年はその概念を超えた“スーパー豪雨”ともいうべき現象が各地で相次いでいる。
興味深いデータがある。気象庁が今年6月に発表した「気候変動監視レポート2013」によると、日本の降水量は長期的には大きく変動していないものの、1日の降水量が100㎜以上、あるいは200㎜以上という大雨の年間日数は年々、増加している。
さらに、地域気象観測所(アメダス)がとらえた日降水量400㎜以上の年間観測回数も大幅に増加している。今年のデータを加えればさらに顕著な傾向になることは間違いない。
異常なのは日本だけではない。2011年と2013年には立て続けにタイで大洪水が発生。昨年11月にフィリピンを襲った台風は、最大瞬間風速が100mを超え観測史上最大の規模となった。地球温暖化により海水の温度が上昇すれば、こうしたスーパー台風の発生確率はさらに高まるとの研究結果もある。米国でもまた、2012年10月に巨大ハリケーン・サンディが東海岸に上陸し、ニューヨーク州やニュージャージー州に甚大な被害をもたらした。
一方で、米国では、ハリケーン対策プログラムに基づく対応が大きな減災効果を上げたと報告されている。州政府が中心となり、災害が想定される数日前から、発生、その後の対応まで、さまざまな機関が災害時に何をするか時間を追って整理した「タイムライン」を導入して対応にあたり、多くの被害を未然に食い止めた。
日本の企業、自治体の対策はどうすればいいのか?前線の影響などにより複雑に気象状況が変わる日本でタイムラインは有効なのか?
企業・自治体で行われている対策と、日本版タイムライン構築への課題をまとめた。
間近に迫る「首都水没」の可能性
世界1危ない国際都市「東京」
◇企業の対策
「地下」への雨水流入を遮断
時間軸の計画で官民連携を模索
東京地下鉄株式会社 (東京メトロ)
洪水の脅威を知る企業の対策
状況に応じた柔軟な意思決定が重要
株式会社コロナ
結果事象のBCPで被害を阻止
タイの洪水に代替拠点で事業継続
豊田通商株式会社
大丸有地区のビルを守る
重要設備室の浸水防止
三菱地所株式会社
◇自治体の対策
被災教訓を生かし豪雨対策
新潟県内自治体の挑戦
三条市/見附市/新潟県
時系列の対応検証
タイムラインを導入した大規模訓練を実施
奈良県橿原市
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2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
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