リスク対策.com vol.32

●特集1
オリンピックに備えたBCP交通網の麻痺、通信回線のダウン

・・・BCP(事業継続計画)という言葉を聞けば、地震、津波、新型インフルエンザ、洪水など、自然災害や致死率の高い感染症を思い浮かべる人が多いだろう。イギリスでは、7月末から開催されるオリンピックに備え、各企業が事業継続計画の見直しを行っている。想定する脅威は「テロ」だけではない。大量に押し寄せる観光客による交通網の麻痺や、通信回線のダウン、デマによる従業員の大量欠勤など高い確率で起こりうる諸々の課題に対して、通常通りの業務が継続できるかを検証している。

利益を最大化するために
・自然災害とオリンピックBCP の違い
・連携・調整力を向上させる訓練支援ソフト
・対策事例1 サンガード社
 企業の事業継続を支えるために
・対策事例2 BLME
 オリンピック対策は2000 年問題と似ている
・最大の商機を逃さない
・進化する金融のBCP
・8割以上が対策の必要性を認識
・ 政府・自治体の対策 
・オリンピックで防災グッズの売れ行き好調
・視察記 強き組織となるために

●インタビュー
もしも東京電力が米国の危機管理システムを導入していたら
熊丸由布治 在日米陸軍消防本部統合消防次長

米国には、ICS(Incident Command System)と呼ばれる現場指揮システムがある。災害現場・事件現場などにおける標準化されたマネジメント・システムのことで、命令系統や管理手法などが詳細に定められている。政府や自治体だけでなく、消防、警察、軍、その他、民間企業や自主防災組織の多くがこのICSを取り入れているため、異なる組織間でも、常に連携がとりやすく、混乱やミスを最小限に抑えることができる。在日米陸軍消防本部統合消防次長の熊丸由布治氏は、「もし、東日本大震災で、各組織がICS を運用していたら、より迅速で効率的な対応が実現できたはず」と指摘する。熊丸氏に、ICS の概要と、もし東京電力がICS を導入していたら、どう変わっていたかについて説明をしてもらった。

●特集2 
海外から見た日本の危機管理
・元FEMA危機管理専門官が語る
 日本の災害対応の課題と提言
・海外誌が見る
 日本のサプライチェーン継続

●特集3 
ソーシャルメディアを活用した危機管理
世界各国の活用方法を解説

東日本大震災では、停電や通信の集中により多くの情報通信サービスがつながらない中、ソーシャルメディアの活用が、災害対応に大きな効果をもたらした。中でも、ツイッター、ミクシィ、フェイスブックなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)は、被災地からの情報発信や被災者支援に大きく貢献し、災害時の新たな情報伝達ツールとして注目を集めた。海外でも、クライシスコミュニケーションの手段としてソーシャルメディアの必要性の認識が高まっている。

・TV、新聞を超えた利用率
 災害時におけるソーシャルメディア
・危機発生後だけではない!
 日常からのSNS 利用で事業継続力を高める
・ソーシャルメディア最前線
 世界が注目するリンクトイン
・クライシス・コミュニケーション
 ソーシャル・メディアの可能性

●インタビュー
放射能汚染の真の脅威
チェルノブイリの小児甲状腺がん死亡率は0.2%

2011 年3 月11 日に発生した地震と津波によって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所の事故。
県外への避難住民は今なお6万人を超え(2012 年6月7日現在で6万2084 人※県内避難者含まず)、彼ら
はいつ戻れるとも見通しがつかない不安の中で暮らしている。
東京慈恵医会医科大学准教授で、小児科医として数多くのがん患者の診断、治療をしながら、分子疫学の研究にも携わってきた浦島充佳氏は、「子供のことを心配する母親の気持ちは十分汲んであげるべき」と住民
の心境に配慮しつつも、「コミュニティを守り、被災地を一日も早く復旧・復興することが日本の将来にとって重要なことだ」と、地域再生に向けた前向きな議論の必要性を訴える。浦島氏が最も懸念するのは「過度な恐れによって大事なものを見失ってしまうこと」。浦島氏は、それを“原発事故の罠”と呼ぶ。

●After 3.11 災害に強い経済社会を目指して
江口昌幸 日本アイ・ビー・エム株式会社執行役員
地震だけが脅威ではない

2011 年3月11 日、日本IBM は製品保守サービス部門が震災の発生4分後から主要メンバーを集めて顧客からの問い合わせや情報収集にあたるなど、素早い対応を達成させた。しかし、当時、同社には地震を想定したBCP(事業継続計画)があったわけではなかった。日常的なリスクマネジメントと、いざ災害が発生した際のクライシス・マネジメントは異なると同社執行役員の江口昌幸氏は語る。今回の東日本大震災では、後者の対応につまずいた組織が多いのではないか。同社の震災後の取り組みを聞いた。

●インタビュー
Tim McGarr BSI Sector Content Manager/Business Continuity & Risk
英国におけるISO22301の反響

●特別寄稿
石井 弘之 ヒル・アンド・アソシエイツ・ジャパン株式会社 代表取締役社長
ご都合主義な危機管理 
日本企業の「想定無い」リスクマネジメント(下)

●講演録
・外国人研究者が見る日本の財政
 2020 ~ 2030 年に日本は破綻する

●講演録
・一橋大学経済研究所教授/小林慶一郎氏
 外国人研究者が見る日本の財政
 2020年~2030年に日本は破綻する

・社会福祉法人恩賜財団済生会理事長/炭谷茂氏
 環境と福祉から災害対策・復興を考える

●シリーズ
・サマンサのBCP英語講座
 リスクマネジメントの英語 停電編

・ISO22320(危機対応)について学ぶ 
 序文・適用範囲・用語 
 林春男

・サプライチェーンを含めたBCP
 リスクに対応したサプライチェーンの維持、持続的調達
 上原修

・リスクマネジメントの本質
 リスクマネジメントの実践における経営的視点の欠如
 眞崎達二朗

・事例から見る組織の法的リスク
 最近の優越的地位の乱用について
 内田久美子

・あなたの組織の内部通報制度は機能するか?
 不祥事公表のリスク・マネジメント その1
 中村勉

・コンプライアンス達成に必要な従業員の法知識
 人事部編(1) ~就業規則~
 北周士

●Topics
・災害発生時の児童・生徒の安全を確保
・ISO22301をBCMS適合性評価制度に正式採用
・CAS工法「アスベストの無害化」で審査証明
・巨大自然災害に対する保険金請求実務