色と多言語表記を考える
ピクトグラムのメリットとデメリット

藤代 洋行
ピクトグラムアーティスト、甲種防火・防災管理者、防災士。ピクトグラムアートは世界初! 知的財産権(著作権・動き商標・商標)+知的財産権保護(著作権・確定日付)を取得しています。「動き商標」と「商標」をベースにしたデジタルアート作品です。伊勢屋グループの代表(Pictogram Art、手話指文字・点字アート、Origami Art、障害者コンサルタントコズミック、SOHOしあわせのハコ)
2020/02/07
防災とピクトグラム
藤代 洋行
ピクトグラムアーティスト、甲種防火・防災管理者、防災士。ピクトグラムアートは世界初! 知的財産権(著作権・動き商標・商標)+知的財産権保護(著作権・確定日付)を取得しています。「動き商標」と「商標」をベースにしたデジタルアート作品です。伊勢屋グループの代表(Pictogram Art、手話指文字・点字アート、Origami Art、障害者コンサルタントコズミック、SOHOしあわせのハコ)
この連載では、防災や危機管理におけるピクトグラムを使ったコミュニケーションについて、ピクトグラムのメリットとデメリットを、具体的な事例を用いながら解説し、効果的なピクトグラムを使った表現方法を考えてみたいと思います。
ピクトグラムのメリットは、事前の学習や特別な知識がなくても理解できることです。文字を使わなくても、見て直感的に情報を伝えられる視覚記号(サイン)なので、目の見えづらくなった高齢者、漢字が苦手な子ども、外国人、一部の障害者など文字の読めない人にも情報を伝えられることです。
非常口のピクトグラムの色を見て気になりませんか? 人は無意識のうちに色から大きな影響を受けています。しかし、「色が目立てばいい」ということではありません。
例えば、非常口は、緑色に白色の2色。消火器は、赤色に白色の2色です。安全標識は、遠くからでも容易に「禁止」「安全」などの指示内容が一目で認識できなければなりませんが、その認識性はデザインと色使いに左右されます。対応する国際標準との整合を保ちつつ、多様な色覚を持つ人々の安全標識に対する認識性を向上させるため、JIS Z 9103(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)があります。
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180420006/20180420006.html
安全色彩とは、安全上必要な個所を識別しやすくするために使用する色彩です。JISに規定される安全色は、赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫に、対比補助色として白、黒を加えた8色です。意味は以下の通りです。
1.安全色:赤
意味:防火、禁止、停止、高度の危険
2.安全色:黄赤
意味:危険、航海・航空の保安施設
3.安全色:黄
意味:注意
4.安全色:緑
意味:安全、避難、衛生、救護、進行
5.安全色:青
意味:指示、用心
6.安全色:赤紫
意味:放射能
7.安全色:白
意味:通路、整頓
8.安全色:黒
意味:文字・記号・矢印などに使用、黄赤・黄・白の補助色
このように、視覚記号(サイン)に合わせて色でも情報を伝えているのです。
ピクトグラムのデメリットは、イメージでしか意思疎通が図れないことです。非常口やトイレなど大まかな場所を伝えるには適しています。しかし、注意など危険が及ぶものは、文字や音声などで欠点を補う必要があります。
例えば、津波注意のピクトグラムを見てどう感じますか? 津波注意のピクトグラムがあるから、この地域では津波があるかもしれない。波の向きが右向きだから左側が海であろうなど予想になるので、これだけでは情報は分からない方が多いと思います。もしかしたらこの津波注意のピクトグラムを見て全く違うことを連想させているかもしれません。
津波避難場所のピクトグラムでもまだ不十分ですが、津波からの避難啓発などにも見えるので少しは違うのではないかと思います。これも残念ながら、この津波避難場所のピクトグラムを見て全く違うことを連想させているかもしれません。
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/21
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方