暗号資産(仮想通貨)の規制強化を巡り、各国の思惑が交錯している。顧客保護を重視する日本は11~13日に新潟市で開催される先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で法規制などのルール整備を討議する意向だが、米国は規制強化に慎重な立場。G7が一枚岩でない上に、20カ国・地域(G20)の議長国インドは禁止も視野に入れた厳格な規制を模索しており、国際合意のハードルは高い。
 昨年11月、暗号資産の交換業大手FTXトレーディングが破綻したことをきっかけに、規制強化の機運が高まった。各国の規制がまだ曖昧な中でFTX創業者の顧客資産流用や、サイバー攻撃による暗号資産の流出が起き、被害が拡大した。マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される懸念もあり、ルールづくりは喫緊の課題だ。
 G7議長国の日本は、顧客保護を訴えて議論を主導し、新潟会合で規制推進を盛り込んだ共同声明の採択を目指す。関係者によると、G7のうち欧州各国は日本の方針に理解を示しているというが、米国には「過度な規制は技術革新を阻害する」との意見もあり、足並みをそろえられるか予断を許さない。
 一方、インドは暗号資産の存在自体に否定的。流通が拡大し、自国通貨に取って代わることになれば、国が通貨を発行する権限を脅かされかねないと主張している。今秋のG20財務相・中銀総裁会議では規制を巡って先進国と新興国が踏み込んだ議論を交わす見通しだが、落としどころを探るのは難しそうだ。 

(ニュース提供元:時事通信社)