ロシアの首都モスクワの北西約300キロ。夏の終わりで日が長い23日夕、ロシア中部トベリ州の集落クジェンキノに自家用ジェット機が墜落した。所有者は民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏。SNSに投稿された現場で撮影したとされる動画は、黒煙を上げる残骸を捉えていた。
 各種報道によると、同機は午後5時54分(日本時間同11時54分)、モスクワの「空の玄関口」シェレメチェボ空港を出発。26分後にレーダーから消えた。向かう先はプリゴジン氏が事業の拠点を置く出身地サンクトペテルブルクだった。
 主要メディアが惨事を伝えるや否や、同機とされる航空機が青空を真っ逆さまに墜落する動画がインターネットに掲載された。撮影した近隣住民とみられる女性は、ウクライナからの飛来が多発するドローンの撃墜と勘違いした様子で「爆発音が2回聞こえ、落下している」と実況中継した。
 ワグネル系列メディアはSNSで、同機は上空でロシア軍の地対空ミサイルによって撃墜されたと主張した。さらに、プリゴジン氏らの死亡はまだ正式に確認されていないにもかかわらず、「訃報」を早々に発表。サンクトペテルブルクの拠点ビルには窓ガラスをライトアップして「十字架」を描いた。
 この日はプリゴジン氏所有の別の自家用ジェット機もモスクワ周辺を飛んでおり、消息を巡って情報が交錯。同氏は「アフリカ諸国の一つ」で撮影したとされる動画メッセージを21日にSNSで公表しており、ロシアに帰国したばかりだったという証言もある。 

(ニュース提供元:時事通信社)