東京電力福島第1原発で生じる処理水の海洋放出が始まり、政府は安全性に関する対外発信に全力を挙げる。米欧で支持や理解が広がる一方、中国は対抗措置に踏み切り批判を展開。海外で発信が相次ぐ「偽情報」への対策も急務だ。
 岸田文雄首相は24日、日本産水産物の輸入全面禁止を決めた中国に対し、即時撤廃を求めたと明らかにした。首相官邸で記者団に「科学的根拠に基づき専門家同士が議論を行うよう強く働き掛ける」と語った。
 中国は「核汚染水」と主張し、全面禁輸で日本を揺さぶる。首相は9月上旬にインドネシアで李強首相との会談を調整しており、再考を直接促す考え。中国側の態度を変えるのは難しいとみられるが、日本政府関係者は「丁寧に説明していくしかない」と指摘した。 
〔写真説明〕記者団の取材に応じる岸田文雄首相=24日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)