日本政府観光局が15日発表した10月の訪日外国人数(推計値)は、前年同月比約5倍の251万6500人だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響がなかった2019年同月との比較では0.8%増となり、初めてプラスに転換。コロナ禍からの脱却が鮮明になってきた。
 訪日客数は20年に急減したが、水際対策の緩和・撤廃や円安による割安感を背景に昨秋以降、急回復した。特に韓国や東南アジア、米国などの勢いが強く、出遅れている中国本土からの訪日客を除けばコロナ前を28.0%上回った。
 1~10月累計の訪日客数は1989万1100人で、19年同期の73.9%の水準まで回復した。政府は、通年で過去最高だった19年(約3188万人)水準を25年までに超える目標を掲げており、達成が視野に入りつつある。
 10月の国・地域別の訪日客は、韓国が63万1100人と最多で、台湾(42万4800人)、中国(香港・マカオ除く、25万6300人)、米国(21万1900人)、香港(17万9300人)と続いた。韓国は日本製品の不買運動で訪日客が減っていた19年同月の約3倍、米国は約4割増で、いずれも10月として過去最多だった。
 コロナ前に全体の約3割を占めた中国は回復率が35.1%にとどまり、9月(39.8%)から下振れした。訪日団体旅行は8月に解禁されたが休日数が減ったことが響いたとみられる。 
〔写真説明〕訪日外国人観光客でにぎわう浅草の仲見世通り=10月18日、東京都台東区

(ニュース提供元:時事通信社)