北朝鮮が「軍事偵察衛星」と称する飛翔(ひしょう)体を発射したことを受け、日本政府は22日、情報収集を急いだ。弾道ミサイル技術の向上に警戒感を強めており、米韓両国と協力してレーダーや電波情報の解析を進め、打ち上げの成否を見極める方針だ。
 飛翔体は21日夜に沖縄県上空を通過し、分離した一部が太平洋上の予告区域に落下した。
 松野博一官房長官は22日の記者会見で、「関連技術、運用能力を急速に向上させている。見過ごすことはできない」と危機感を表明。ロシアと北朝鮮の関係強化に関し、「北朝鮮への核・ミサイル関連技術の移転につながる可能性を懸念している」と語った。
 今回、北朝鮮は「打ち上げ成功」と発表。韓国軍も22日、「衛星が軌道に入った」との見方を示した。政府高官は、防衛省の分析作業になお時間を要するとして、「地球周回軌道への投入は確認されていない」との日本の立場に変わりはないと説明した。
 松野氏は「今後も発射を強行する可能性は考えられる」と指摘。北朝鮮が打ち上げ期間として通告した12月1日午前0時まで、航行警報を維持する方針を示した。 
〔写真説明〕記者会見する松野博一官房長官=22日、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)