【ソウル時事】韓国軍は5日、北朝鮮が同日午前9~11時(日本時間同)ごろ、黄海上の韓国の白※(※令に翊のツクリ)島と延坪島の北方で200発以上の砲撃を行ったと発表した。いずれも韓国が境界線と定める北方限界線(NLL)の北朝鮮側に着弾し、被害はなかった。
 韓国軍合同参謀本部は「朝鮮半島の平和を脅かし、緊張を高める挑発行為だ」と批判。「危機が高まる状況の責任は全面的に北朝鮮にある」と警告した。韓国軍は対抗して午後3時ごろから両島に駐留する海兵隊部隊を動員して海上に向け砲撃訓練を実施した。両島の住民には退避所への避難命令が出された。
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は声明を出し、部隊が訓練として黄海上に砲撃を行ったと認めた。ただ、発射数は192発としている。総参謀部は「敵が対抗措置として挑発行動を取れば、わが軍は前例のない水準の強力な対応を示す」と主張し、「同じ民族という概念は既にわれわれの認識から削除された」と強調した。
 北朝鮮は昨年11月、海上の境界線付近での砲撃を禁止した2018年の南北軍事合意の事実上の破棄を宣言した。宣言後、北朝鮮が黄海のNLL付近で砲撃を行ったのは初めて。金正恩朝鮮労働党総書記が昨年末、「敵対的な交戦国関係」と表明するなど、韓国への対決姿勢を一層強めている。
 韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮は主に沿岸に設置した「海岸砲」で海上への砲撃を行った。一方、韓国軍の海上砲撃訓練にはK9自走砲や戦車砲などが使用された。両島でこのような訓練が実施されるのは軍事合意締結後初めてという。 
〔写真説明〕韓国軍の海上砲撃訓練=5日、黄海の白※(※令に翊のツクリ)島(韓国国防省提供・時事)

(ニュース提供元:時事通信社)