【ニューヨーク時事】国連安保理の対北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる専門家パネルが、北朝鮮の関与が疑われるとして2017年以降に発生した58件のサイバー攻撃を調査していることが分かった。ロイター通信が7日、未公開の年次報告書の抜粋を報じた。
 調査しているのは暗号資産(仮想通貨)関連企業に対する攻撃で、計約30億ドル(約4500億円)相当が北朝鮮に窃取されたとみられる。制裁下の北朝鮮にとっては近年、サイバー攻撃が核・ミサイル開発の大きな資金源となっている。
 報告書は「北朝鮮が制裁破りを継続している」と指摘。新型コロナウイルス流行時に減少した貿易は回復傾向が続いており、中には禁輸対象である外国製ぜいたく品の輸入が含まれていたという。また、外貨獲得を阻止するため、各国には北朝鮮労働者の送還が義務付けられているが、それに違反した状態で「海外のITや飲食、建設業界で働く多くの北朝鮮国籍の人がいる」とも記した。
 ロシアとの武器取引については「北朝鮮による兵器供与に関する加盟国からの報告を調べている」と報告した。
 安保理は北朝鮮に対し、06年から段階的に制裁を強化してきた。しかし、中国とロシアが北朝鮮を擁護し制裁緩和を主張。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、核開発にまい進する中、17年を最後に安保理として一致した行動を取れていない。 

(ニュース提供元:時事通信社)