【カイロ時事】イスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏は28日、テレビ演説し、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとの戦闘の休止に向けた協議に関し、「われわれは柔軟性を示している」と語った。ただ、休戦案に関しハマスは否定的な反応を示したと伝えられ、早期妥結には懐疑的な見方も出ている。
 イスラエルのメディアは28日、ハマスが戦闘休止案に関し、「戦争終結」や「ガザ北部への住民の完全な帰還」、「釈放するパレスチナ囚人の人数」といった点で要求が満たされていないとして異論を唱えたと報じた。
 イスラエルと米国など仲介各国は40日間の戦闘休止で合意したとされる。ハマスが拘束する人質40人とイスラエルが収監するパレスチナ囚人約400人を交換する内容で、ガザ北部への住民帰還は、高齢者や女性に限定して認めたと報じられている。
 ハニヤ氏はまた、ハマスがガザに残り続けるためには「どんな譲歩もしない」と強調。「わが民を守る」として戦闘継続の用意があると述べた。
 バイデン米大統領は26日、3月4日までの合意を「望んでいる」と述べたが、イスラエル政府報道官は、合意にはハマス側が「途方もない」要求を取り下げる必要があると指摘。ロイター通信によると、ハマス幹部も「埋めるべき溝がある」と述べ、バイデン氏の見立ては時期尚早だとした。
 ガザ保健当局は28日、ガザでの累計死者数が2万9954人になったと発表した。イスラエルのガザ攻撃は続き、死者数の増加に歯止めがかかっていない。AFP通信によると、イスラエル軍が本格侵攻を計画するガザ最南部ラファで避難生活を送る女性教師(30)は「戦争終結までにどれだけ犠牲者が出るのか想像できない」と訴えた。 
〔写真説明〕27日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃により損壊した建物(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)