能登半島地震の被災地でけがや病気になったペットのため、岩手大動物病院(盛岡市)から貸し出された移動診療車「ワンにゃん号」が活躍している。ボランティアの獣医師がペットの健康相談や診療を無料で実施しており、「やっと診てもらえて安心した」「近くに来てくれて助かった」と飼い主から感謝の声が上がっている。
 ワンにゃん号は2012年3月にペットフード会社から同病院に寄贈され、東日本大震災の被災地でも活動した。血液検査や麻酔、レントゲン撮影が可能で、石川県の獣医師会が同病院から借り受け、1月下旬から巡回している。避難所など慣れない環境で体調を崩すペットが多く、健康管理が課題になっているという。
 2月下旬、珠洲市の図書館前に来たワンにゃん号には、移動用ケージに入った猫や犬を連れた人が次々と訪れた。6歳の雄猫の健康相談に訪れた山形優子さん(51)は「地震から50日たって、ようやくこの子が帰ってきたと思ったら風邪を引いていた。薬をもらえてよかった」とほっとした表情を見せた。
 津幡町の獣医師新家俊樹さん(40)は地震発生後、「何かできることはないか」と模索する中で今回のボランティアを見つけ、応募した。利用者から感謝されることが多いといい、「できることは微々たることだが、少しでも役に立ててうれしい」と笑顔で話した。 
〔写真説明〕診療車の中で、猫の健康状態を確認する獣医師の新家俊樹さん=2月25日、石川県珠洲市
〔写真説明〕被災地を巡回するペット専用移動診療車「ワンにゃん号」=2月25日、石川県珠洲市

(ニュース提供元:時事通信社)