日本と米国、フィリピンは米ワシントンで開いた初の首脳会談で、重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)強化に向けた連携で一致した。脱炭素やデジタル化に不可欠な重要鉱物は、中国への依存度が高く、安定確保の重要性が高まっている。フィリピンは電気自動車(EV)の生産に必要なニッケルの産出量で世界2位。3カ国協調で経済的威圧を強める中国に対抗する狙いがある。
 「強靱(きょうじん)で信頼できるグローバルサプライチェーンを促進する方法として、3カ国全ての重要鉱物資源産業を支援する」。日米比首脳の共同声明はこう明記し、経済安全保障上、重要性が増す鉱物の生産や加工などで緊密に連携していく姿勢を打ち出した。
 ニッケルはEVの走行距離を左右するリチウムイオン電池の性能に関わる材料で、脱炭素化に向け世界で需要が拡大している。国策としてEVへの移行を急ピッチで進める中国は、ニッケル生産首位のインドネシアへの投資を拡大し、権益確保に動いている。 

(ニュース提供元:時事通信社)