対話型人工知能(AI)「チャットGPT」などの生成AIの活用について、時事通信は6月、47都道府県を対象にアンケートを実施した。回答結果によると、福島、茨城、群馬、新潟の4県は業務への本格利用を開始。栃木、千葉、神奈川、富山、長野、静岡、兵庫、山口、高知、佐賀の10県は試験的に導入した。事務作業での使用が中心だが、茨城は観光PRにも活用している。
 アンケートは6月1日に送付。22日までに全都道府県から回答を得た。残る33都道府県は利用の可否や方法を検討中で、「利用予定はない」はゼロだった。
 生成AIを本格導入した4県は、いずれも使用上のルールを策定済み。全庁的な利用を認め、文書や資料の作成、要約、情報収集、施策のアイデア出しなどで活用する。
 茨城は、県の広報役を務めるバーチャルユーチューバー(Vチューバー)「茨ひより」にチャットGPTを組み込み、4月に千葉市で開かれたイベント「ニコニコ超会議」でお披露目した。来場者が画面越しに語り掛けると、茨城の観光や名産などを自動的に音声で紹介。ただ、「存在しない観光地まで案内してしまう」(担当者)こともあったため、職員が待機し回答を修正した。今後は精度を上げ、観光案内所などへの配置を目指す。
 ガイドラインやルールは、生成AIを本格導入した4県に加え、秋田、栃木、長野、大阪、佐賀、長崎の6府県が作成済みだ。35都道府県は「作成中」か「作るかどうかを含め検討中」と回答。高知、鹿児島両県は「作成予定はない」と答えた。
 生成AIに期待する点は、業務の効率化や職員の負担軽減が多く、「職員の力を人にしかできない仕事や創造的な仕事に振り向けられる」(埼玉)といった回答があった。
 一方で、生成結果の真偽や著作権侵害、個人情報漏れの恐れなどが懸念材料に挙がった。大半の自治体が「安全性や正確性の確保が課題」と認識。国に統一的なガイドラインやルールの早期制定を求める声が多かった。 
〔写真説明〕チャットGPTを組み込んだVチューバー「AI茨ひより」=4月、千葉市(茨城県提供)

(ニュース提供元:時事通信社)