飢饉・飢餓の歴史を振り返る
東北の古文書<庶民に惨状、残酷極りなし>

高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2019/10/15
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
「飽食時代」といわれる今日、「大旱魃(だいかんばつ)」「飢饉(ききん)」「飢餓」といったおぞましい言葉は「死語」になったのであろうか? 確かに「災害列島」日本の現状だけに限ってみれば「死語」になったように見けられる。しかしながら、戦前はもとより、戦後の高度経済成長期以降でも「飢饉」「食糧不足」は日本国民を襲ったのである。
そこで日本の「飢饉の歴史」を、改めてひもといてみよう。「日本史小百科 災害」(近藤出版社)や災害関連の専門図書を参考にする。
古く「日本書紀」(奈良朝)欽明天皇28年(6世紀半ば)の条(「事」を意味する)に「郡国大水、飢えて或は人相食(あいは)む」とあり(人肉で飢えをしのいだ!)、天武天皇5年(676)5月条に「下野(しもつけ)国(現栃木県)所部の百姓、凶年に遭(あ)ひ飢ゆ。子を売らんとす。しかるに朝(行政府)許さず」(人身売買・人減らしが横行)という記述をはじめとして、日本史上の飢饉については、昭和時代までに大小およそ500回もの記録がある、とされる。飢饉の直接の原因としては、旱害・冷害と風水害・震災の自然災害があるが、戦乱・疫病・虫害も見逃すことが出来ない。
現在では旱害(かんがい、干ばつ)が大凶作を引き起こすことは極めてまれだが、源平時代(12世紀)や戦国時代(15~16世紀)は旱害が最も恐ろしい自然災害だった。中世以前の傾斜地にある田は、雨水の恵みがなければ作物は育たず、旱魃になると収穫は皆無に近い状態になった。雨乞いの祈りも各地で行われた。当時は潅漑用の設備(ため池や水路など)も十分ではなく、水利状況の良いところだけ水を引いて田を作っていた。
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
GX支援のアイ・グリッド 防災・BCPへの訴求を強化
企業向けグリーン電力供給のアイ・グリッド・ソリューションズは、気象災害の激甚化からレジリエンス対策のニーズが高まるとみて、防災・BCP面の訴求を強める考えです。このほど、エネルギーリスクと独立電源に対する意識を調べるため、全国の経営者にアンケート調査を実施。事業継続に加えて地域貢献への意向が強いことがわかりました。
2023/09/21
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年9月19日配信アーカイブ】
【9月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:未知のリスクに備える
2023/09/19
「回復」から「成長」へ 復旧フェーズを格上げ
フッ素樹脂メーカーのニッキフロンは2019 年の台風19号で本社工場機能の大半を喪失。被害と財源を見極め早期に復旧方針を決めると、主要製造ラインの迅速再開と代替生産で出荷の維持に努めました。一時は大幅に売上を落としたものの、取引先などの応援もあって、1年半後には被災前と同レベルに回復、その後は新たな成長フェーズに入っています。
2023/09/18
花王のリスクマネジメント改革
1890年に高級化粧石けん「花王石鹸」を発売してから130年以上にもわたり、家庭で愛用される、洗剤を中心としたさまざまな製品を世に送り出してきた花王株式会社。1999年にリスクマネジメント体制を整備した同社は、2016年にリスクマネジメントの改革に乗り出した。現在は、ERM(全社的リスクマネジメント)を展開し、将来直面するだろう未知のリスクにも対応できる体制を整えている。
2023/09/18
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年9月12日配信アーカイブ】
【9月12日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:事前対策と初動が機能したBCP事例
2023/09/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方