東北地方では16日午後、梅雨前線による雨が峠を越えた。記録的な大雨となった秋田県では15日に太平川など多くの河川が氾濫し、秋田市中心部などで浸水や冠水が生じたほか、各地で土砂崩れが起きており、影響が続いた。前線は18日から19日ごろに再び東北に延びて活動が活発になり、大雨になる恐れがある。気象庁は土砂災害や河川の増水に厳重に警戒するよう呼び掛けた。
 秋田県五城目町では16日朝、農地で水没した車から男性1人が見つかり、現場で死亡が確認された。八郎潟町の60代男性と連絡が取れておらず、県警が身元の確認を進めている。
 秋田市では15日午前に発生した土砂崩れで4人が軽傷を負った。県内の道路は9カ所で土砂崩れが起きた。
 総務省消防庁によると、秋田県内では住宅の全半壊が各1棟、床上・床下浸水が計約400棟などの被害が出た。
 男鹿市と八峰町では断水が発生し、県知事から要請を受けた陸上自衛隊が給水車と隊員を派遣。男鹿市には海上保安庁の巡視船1隻も向かった。
 大雨のピーク時には、5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が秋田市と能代市、五城目町、三種町、八郎潟町、上小阿仁村の6市町村に発令された。県によると、対象は最大で約8700世帯、計約1万7400人。避難指示は最大で約9万2500世帯、計約19万400人に出された。
 秋田市(仁別)では48時間雨量が16日午後2時50分までに415.5ミリ、仙北市(角館)では午後4時20分までに324.5ミリに上り、いずれも観測史上最多記録を更新した。
 17日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、東北の日本海側60ミリ、太平洋側30ミリ。
 JR東日本によると、秋田新幹線は18日まで盛岡―秋田間の運転を見合わせる見込み。 
〔写真説明〕崩落した旭川沿いの歩道=16日午前、秋田市

(ニュース提供元:時事通信社)