【イスタンブール時事】リビア東部で発生した大規模洪水で、東部を支配する政権の高官は13日、「5300人以上の遺体を確認した。(死者数は)大幅に増えそうで、倍増するかもしれない」と語った。ロイター通信が伝えた。5000人以上の行方が分からなくなっている。国連の国際移住機関(IOM)は、深刻な被害が出たデルナだけで少なくとも3万人が家を失い、避難を余儀なくされたと指摘している。
 リビア東部では10日、暴風雨が直撃してデルナを流れる川の上流に位置する二つのダムが決壊。デルナの市街地に大量の水が押し寄せた。デルナは東部の主要都市ベンガジから東へ250キロに位置する。丘に囲まれ、通常は水害とは無縁な人口10万人の都市だが、今回の洪水は川沿いに位置する建物や家屋、車を次々とのみ込んだ。
 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のタメル・ラマダン氏は13日、オンラインで「街のあちこちで遺体が見つかっている」と被災地の状況を説明した。「デルナの主要な病院は使えない状況だ」と嘆いた。
 AFP通信によると、ノルウェーの人道支援組織「ノルウェー難民問題評議会(NRC)」も12日、「リビア全土でこれまで何年も、住民は紛争や貧困、避難生活に耐えてきた。今回の災害で状況はさらに悪化する」と窮状を訴えた。
 リビアに対しては国連のほか、エジプトやフランス、イタリアなど各国から支援の申し出が相次いでいる。トルコの緊急援助隊は13日、デルナで活動を開始した。
 リビアは2011年のカダフィ政権崩壊後も内戦状態が続いてきた。現在は国際的に承認された政権が西部の首都トリポリに存在する一方、東部にも対立する別の政権がある。こうした複雑な政治状況が、支援活動推進の足かせとなる恐れがある。 
〔写真説明〕リビア東部で冠水した道路(リビア赤新月社が11日提供)(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)