損害保険大手4社が企業向け保険の入札で事前に価格調整していた問題で、金融庁が出した追加の報告徴求命令は29日が期限となる。4社の調査で、不適切な行為が計100社超との取引で行われていたことが判明。独占禁止法違反の疑いのある価格調整が、業界内で横行していた可能性が高まっており、金融庁は全容解明に本腰を入れる。
 金融庁は8月、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険に、保険業法に基づく追加の報告命令を発令。不適切行為の調査範囲を広げてその結果と再発防止策を報告するよう求めた。
 価格調整は損保会社が保険金支払いのリスクを分担する「共同保険」の契約で行われた。共同保険は、1社でリスクを抱えきれないような巨大施設を持つ石油元売り会社や鉄道会社といった大企業の契約で採用されるのが一般的だ。
 近年、自然災害が頻発化する中、契約は取りたいが、過大なリスクは避けたいため入札の提示価格を引き下げる力が働きにくくなっていた。そうした背景から、各社の担当者同士が入札前に価格に関する情報を共有。メールなどでやりとりしたケースも判明している。 
〔写真説明〕金融庁=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)