ロシア南部ダゲスタン共和国マハチカラで29日、空路で到着したイスラエル国籍保持者を追い返そうとした群衆が空港になだれ込み、大混乱に陥った。カスピ海に面するダゲスタンはイスラム教徒が主体。イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を強化する中、ロシア国内の一部で反イスラエル感情が高まっている。
 実際に襲われた人がいたかは不明だが、当局は大規模騒乱事件として捜査を開始した。
 マハチカラ空港によると、イスラエルのベングリオン空港からの旅客機は同日夜に到着。現地からの報道では、興奮した群衆が、車で空港を後にする乗客のパスポートをチェックした。さらにターミナルビルのあらゆる部屋を「捜索」して回ったほか、フェンスを壊して滑走路に侵入し、無法状態と化した。治安部隊が鎮圧に乗り出し、拘束者が出ている。
 プーチン政権は、中東和平を仲介してきた経緯から、今回のパレスチナ情勢の緊張激化でもイスラム組織ハマスを非難せず「中立」を堅持。ロシアでは、ソ連時代末期以降にユダヤ系が帰還したイスラエルに同情的な人が一定数いる一方、南部を中心にイスラム教徒も多い。イスラエルのガザ攻撃が、ロシア社会内部の対立をあおりかねない状況になっている。 

(ニュース提供元:時事通信社)