【ロンドン時事】ロシア国防省は5日、声明を出し、ウクライナ軍がロシア占領下にあるクリミア半島東部の造船所に巡航ミサイルを撃ち込み、停泊中の船が損壊したと発表した。ウクライナ軍は6月に反転攻勢に乗り出して以降、ロシア海軍黒海艦隊の弱体化を狙ってクリミア半島に頻繁に攻撃を仕掛けている。
 報道によると、ロシア国防省は「ウクライナ軍が4日、(クリミア半島の)ケルチの造船所に巡航ミサイル15発を発射し、防空システムで13発を撃ち落とした」と表明した。ミサイルが命中した船1隻が損壊したとされるが、死傷者はいないもようだ。ウクライナ軍も声明で、造船所に対し「成功裏に」攻撃を加えたと主張した。
 ウクライナがロシアに対する反攻を開始してから、約5カ月がたつ。この間、東部や南部戦線でウクライナ軍がやや前進したものの、大規模な領土奪還は実現しておらず、戦局はこう着状態に陥りつつあるとされる。イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が欧米のウクライナ支援に影響を及ぼすことも懸念される。
 ゼレンスキー大統領は4日の記者会見で「時間がたち、人々は疲弊しているが、これはこう着ではない」と述べ、反攻が行き詰まったとの見方を否定。欧米諸国でウクライナに停戦を促す動きが出ていることに関しても「ロシアと話したり、何かを差し出したりするようわれわれに強要するパートナー国はない」と「停戦圧力」を否定した。 

(ニュース提供元:時事通信社)