国連気候変動枠組み条約事務局は14日、各国が約束した2030年の温室効果ガスの排出削減目標を分析した報告書を公表した。目標が完全達成された場合でも19年比5.3%の削減にとどまると推計。気温上昇を1.5度に抑える世界目標の実現には43%の削減が必要で、大きな隔たりがあることが改めて浮き彫りとなった。
 気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、異常気象による自然災害や海面上昇などのリスクを最小化するため、産業革命前からの気温上昇を1.5度までに抑える目標を掲げる。日本は協定に基づき、温室ガス排出量を30年度に13年度比で46%削減し、50年までに実質ゼロとする目標を設定している。
 報告書は195カ国・地域のうち、今年9月25日までに提出された排出削減目標を基に分析。世界全体の温室ガス排出量は30年より前に減少に転じる可能性があるとの見通しを示した。しかし、「1.5度目標」の達成には十分ではなく、昨年の報告書と同様、今世紀末までに気温が産業革命前に比べて約2.5度上昇する恐れがあることを指摘した。 

(ニュース提供元:時事通信社)