【ニューヨーク時事】英医学誌ランセットは14日、気候変動が人々の健康や生活に与える影響に関する報告書を発表した。気温の上昇を抑制できなければ、熱中症で亡くなる高齢者が今世紀半ばまでに5倍近くに増加すると警鐘を鳴らした。
 分析によると、1年間に熱中症で亡くなった65歳以上の高齢者数は、1991~2000年の平均と比べ13~22年に85%増加。気温上昇の影響がなければ38%増にとどまったという。また、今世紀末までに産業革命前から2度気温が上がるシナリオでは、熱中症で亡くなる高齢者数は今世紀半ばまでに現状の4.7倍に増えると推計した。
 気温上昇に伴い、農業や建設の現場などで働けない時間が増えることによる経済的損失や、食料不足の被害が拡大すると予測。一部の感染症の流行範囲が広がっており、日本についてはマラリアのまん延に適した条件に気候が変化してきていると指摘した。 

(ニュース提供元:時事通信社)