【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと戦闘を続けるイスラエル軍の報道官は3日、記者会見で「軍はガザ全域で、ハマスに対する地上作戦を継続、拡大している」と述べ、南部への地上侵攻を事実上認めた。南部には北部から多くの避難民が押し寄せており、地上戦になれば住民保護が難しい状況。さらなる民間人の犠牲拡大に懸念が高まっている。
 報道官は「軍はテロリストと対峙(たいじ)し、殺害している」とも述べた。イスラエル軍はこれまで北部で地上作戦を展開し、ハマスの拠点が地下にあると主張する病院などを制圧。ハレビ参謀総長は3日、「われわれはガザ北部で強力かつ徹底的に戦い、今は南部で同様に戦っている」と語った。
 ロイター通信はハマス側の情報として、南部ハンユニスから2キロ地点で衝突が発生したと伝えた。住民は戦車の砲撃音が聞こえると語った。
 イスラエルとハマスの戦闘休止は1日朝に期限を迎えたが、人質などを巡る交渉が決裂状態に陥り交戦が再開。イスラエル軍はハンユニスに激しい空爆を加えるとともに、住民に退避を促していた。
 だが、攻撃にさらされ続けた住民はイスラエルへの疑念を深めており、避難が進むかは不透明だ。北部から南部に逃れた住民は、中東の衛星テレビ局アルジャジーラに「彼ら(イスラエル)は北部でも南部でも人を殺す。安全な場所などない」として、退避指示には従わないと話した。
 ガザ保健当局は3日、戦闘再開以降にガザで少なくとも316人が死亡したと発表。10月の衝突開始以来、1万5500人以上が命を落としたと主張した。
 イスラエル軍の発表によると、北部を拠点にしていたハマスの大隊司令官を空爆で殺害した。軍はこの司令官が、10月7日のイスラエルへの急襲やガザ市の病院での「テロ活動」に関わったとしている。 
〔写真説明〕イスラエル南部スデロトから見た、破壊されたパレスチナ自治区ガザの建物=2日

(ニュース提供元:時事通信社)