【エルサレム時事】イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザ南部の主要都市ハンユニスに地上侵攻したことを明かした。声明で、「ハンユニスの中心部にいる」と述べた。地上部隊を展開し、イスラム組織ハマスの幹部殺害やインフラの破壊を狙っているとみられる。イスラエルのガラント国防相は、攻撃は北部以上に大規模になるとの見通しを示していた。戦闘に巻き込まれ死傷する民間人の急激な増加が懸念される。
 ロイター通信によると、これより先に軍はハンユニスの住民に対し、「今後数時間以内に、集中攻撃を開始する」と書かれたビラをまき、「外に出れば危険だ。あなたは警告を受けている」と避難所や病院にとどまるよう求めた。ガザの住民はロイターに、イスラエル軍の戦車がハンユニス東部に入ったと証言していた。同市郊外の東側や北側に拠点を築いているとみられる。
 軍は4日も北部から避難してきたパレスチナ人が集まる南部を集中的に空爆。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは5日、ハンユニスの病院に少なくとも43体の遺体が搬送されたほか、病院の敷地が攻撃を受け、医師らが助けを求めていると伝えた。現地のジャーナリストは「集中攻撃」で住民らがパニックに陥っていると指摘。「彼らは延々と続く恐怖と不安の中で過ごしている」と訴えた。
 ガザ当局の集計では、10月7日の衝突開始後、これまでにパレスチナ人約1万5900人が死亡。戦闘が再開した今月1日以降だけで、空爆で約900人が死亡した。
 ハンユニスへの地上侵攻に先立ち、イスラエルを支援する米国は、多くの死者を出した北部と同様の事態を南部で繰り返さないよう要請。ロイターによると、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、ガザで「安全地帯」として設定されている地域をイスラエルが空爆しないよう「強く期待する」と語った。
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザ地区の最高責任者はX(旧ツイッター)に、南部の対エジプト国境のラファで「人々はどこが安全なのかと助言を求めているが、われわれも答えられない」と書き込んだ。
 イスラエル軍は北部でも作戦を継続している。軍は5日、ジャバリヤにあったハマスのインフラを4日の作戦で破壊したと発表した。 
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザに展開するイスラエル兵(イスラエル軍が4日公開の映像より)(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)