【エルサレム時事】イスラエル軍の報道官は5日の記者会見で、同軍兵士らがパレスチナ自治区ガザ南部の主要都市ハンユニスで「現在、戦っている」と述べた。軍は先に「ハンユニスの中心部にいる」と発表し、部隊展開を認めていたが、具体的な動きは不明。北部から多数の住民が退避した南部は、人口が密集している上に避難先も限られており、地上戦に伴う被害拡大に懸念が広がっている。
 ハンユニスはガザ地区第2の都市で、南部では最大。報道官は、ガザ地区を実効支配していたイスラム組織ハマスの主要な旅団の一つが「ハンユニス旅団」で、同旅団に属する大隊がこの地域一帯で地下を含めたインフラを構築していると指摘した。
 その上で「ガザ北部で行ったのと同じように、われわれはテロリストを排除し、インフラに損害を与えると決意した」と語った。イスラエル軍は北部への地上侵攻で、ハマスの地下施設があると主張する病院に突入している。
 イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ首相は5日の記者会見で、24個とされるハマスの大隊のうち、これまでに約半数の司令官を殺害したと戦果を誇示した。「ガザは武装解除されなければならない」と改めて説明し、「これができるのはイスラエル軍だけだ」と強調。あくまでもハマス壊滅を目指す姿勢を示した。
 一方、AFP通信によれば、ガザ保健当局は5日、多くの避難民が身を寄せるハンユニスの学校に空爆があり、少なくとも25人が死亡したと発表した。この空爆で家族を失ったモハメド・サロウさんは「校庭に遺体があったが、収容できなかった」と説明。学校周辺が標的になった可能性があると語った。
 ガザ当局によれば、ガザでは10月7日の戦闘開始後、1万6200人以上が死亡した。 
〔写真説明〕5日、イスラエル軍の攻撃を受け、煙を上げるパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)