【エルサレム時事】イスラエル軍はイスラム組織ハマスとの衝突開始から2カ月を迎えた7日、パレスチナ自治区ガザ南部の最大都市ハンユニスでの作戦でハマス戦闘員を殺害し、目標数十カ所に空爆を加えたと発表した。軍は6日、ハマスに対する「標的を絞った急襲作戦」に乗り出したと説明していた。ガザ北部でも戦闘が続き、イスラエルのメディアはハマス戦闘員数十人が投降したと報道。SNS上にはイスラエル軍の車両に乗せられた戦闘員とみられる動画が出回った。
 軍によると、ハンユニスで地下トンネルから出てきたハマス戦闘員と交戦した。軍は6日、「ハマスの防衛線を突破した」と説明。AFP通信は目撃者の話として、イスラエル兵や戦車、ブルドーザーなどがハンユニスに次々と入っていると報じた。
 一方、ハマス軍事部門は、イスラエル軍との間で激戦が展開されているとSNSに投稿した。ハンユニス住民はロイター通信に、イスラエル軍による夜間の激しい空爆で民間人が死傷し、市の東部や北部で軍の戦車が武装集団と交戦していると語った。
 戦火を避けようと、大勢の市民がガザ南部の対エジプト国境近くに移動している。しかし、南部ラファでは6日、家屋がイスラエルの砲撃を受け9人が死亡。イスラエルが「安全」と主張する地域でも、避難民の多くは不安を募らせている。ラファからロイターの電話取材に応じた45歳の男性は「イスラエルはうそつきだ。ガザに安全な場所などなく、彼らはあすにもラファのわれわれに迫ってくる」と語った。
 イスラエル軍はハマスが6日にガザの「人道エリア」からロケット弾を発射したと指摘し、「民間人をテロ活動に利用している」と非難。空爆の正当性を主張した。
 戦闘休止が1日に崩壊後、ラファの検問所経由で搬入される支援物資の配給に支障が出ている。国連は6日、テントが足りないため、住居を追われた多くの人が路上での寝泊まりを余儀なくされていると発表した。
 グテレス国連事務総長は6日、国連安保理への書簡で「イスラエル軍による爆撃が続く中、公共の秩序が完全に崩壊する事態も予測される」とし、危機終結に向けた行動を国際社会に要請。ロイターによると、アラブ首長国連邦(UAE)は同日、「人道目的の即時停戦」を求める安保理決議案を提示。8日の採決を調整しているという。 
〔写真説明〕6日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、イスラエル軍の攻撃を受けた建物を確認する住民(ロイター時事)
〔写真説明〕6日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスからラファに避難し、路上で寝泊まりする家族(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)