【エルサレム時事】イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は9日、地元テレビのインタビューで、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘で、これまでに7000人以上の戦闘員を殺害したと述べた。「控えめな推計」という。ロイター通信によれば、ガザの保健当局は9日、衝突が始まった10月7日以降、少なくとも1万7700人が死亡したと発表した。
 ハネグビ氏は、イスラエル軍がガザ北部のハマスの拠点であるジャバリヤやシュジャイヤで「大きく前進している」と説明。ハマスのガザ地区トップでイスラエルへの越境攻撃の首謀者とされるヤヒヤ・シンワル氏にも言及し、「(シンワル氏は)このようなシナリオになるとは考えていなかったはずだ」と語った。
 また、ロイターが地元住民の話として伝えたところによると、南部最大都市ハンユニスの中心部に10日、イスラエル軍の戦車が展開した。
 ネタニヤフ首相は10日の政府内の会議で、「目標達成に向け、ガザ北部と南部の両方で戦争を続ける」と表明。「ハマス壊滅」や人質奪還を目指す方針を改めて示した。
 ただ、ガザ市民に膨大な死傷者が出ていることから、再度の戦闘休止を目指す外交的動きも続いている。AFP通信によると、カタールのムハンマド首相兼外相は10日、「(休止に向けた)努力は続いている。諦めるつもりはない」と強調。「人質の解放と戦争の停止を実現させる決意だ」と述べた。
 イスラエル軍報道官は9日、投降したハマス戦闘員に対する取り調べについて触れ、戦闘員が困難な状況にあるにもかかわらず、指導部がそのような現実を否定していると指摘。「地下にいるハマスの指導部は、地上にいるガザの住民のことを気にかけていないという感情が(戦闘員の間で)広がっている」とも主張した。
 9日には、ハマス戦闘員が投降した際の様子とされる新たな動画が流出し、SNS上で広まった。下着姿の男性数十人が屋外で立って並び、自動小銃をイスラエル軍の前に置く様子が映っている。 
〔写真説明〕10日、パレスチナ自治区ガザ南部のハンユニスからラファに逃げる人々(AFP時事)
〔写真説明〕9日、パレスチナ自治区ガザのシュジャイヤで、イスラエルの空爆を受けて立ち上る煙(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)