【エルサレム時事】イスラエルのガラント国防相は11日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘で、イスラム組織ハマスの戦闘員数百人が投降したと記者団に語った。10月7日の対イスラエル奇襲攻撃に直接関与した戦闘員もこの中に含まれているという。
 ガザ南部最大の都市ハンユニスを視察したハレビ軍参謀総長も11日、「両手を挙げて投降する姿は、敵が戦意を失っている表れだ」と指摘。ガザの北部と南部で、地上だけでなく、ハマスがトンネル網を張り巡らせているとされる地下でも戦果を挙げていると強調した。
 軍は11日、今月1日の戦闘再開後、ハマスや武装組織「イスラム聖戦」の戦闘員約140人をガザで拘束したと発表。過去1カ月の拘束者は計500人以上に達した。軍は「テロリストの一部は学校や避難所などの民間施設に隠れていた」としている。
 ガラント氏はまた、投降した戦闘員が「興味深い供述をしている」と述べた。ハマスの拠点や、最も重要な標的とするハマスのガザ地区トップ、ヤヒヤ・シンワル氏ら最高幹部の潜伏先の特定につながる情報の収集が進んでいることを示唆した形だ。
 イスラエル軍は11日も、ガザのほぼ全域で空爆や地上作戦を継続した。ガラント氏は、北部ジャバリヤとシュジャイヤにあるハマス最後の拠点を軍が包囲しており、「無敵と思われていた部隊は崩壊寸前だ」と主張した。
 ガザ保健当局によると、11日までに戦闘に伴うガザでの死者は1万8000人を突破した。地上侵攻後のイスラエル軍の死者も100人を超えた。
 一方、イスラエル軍は11日、ガザに接するケレム・シャローム検問所を開放すると発表。12日から同検問所で人道支援物資の安全検査を行った後、エジプトとガザの境界のラファ検問所を通じてガザへ搬入する予定だと明らかにした。
 イスラエル軍には、ガザの人道危機が深刻度を増す中、国際社会の批判を和らげたい思惑もあるとみられ、新たな検問所の開放によりガザへの物資搬入量は「倍増する」と説明した。 
〔写真説明〕11日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、イスラエル軍の攻撃を受けて上がる煙(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)