【エルサレム時事】イスラエル政府高官は21日、記者団に対し、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスなどに拘束されている人質の解放や戦闘休止を巡り、「積極的な交渉は行われていない」と語った。ハマス側も、完全な戦闘停止が実現するまで人質に関する合意はあり得ないとしており、水面下の協議が暗礁に乗り上げた可能性がある。
 イスラエルは対外情報機関モサドの長官を欧州に派遣し、ハマスとの仲介を担うカタールや米国の高官と会談を重ねていた。ただ、ハマス幹部は中東の衛星テレビ局アルジャジーラに「イスラエルは人質を助けたら、再びわれわれへの大量殺害に乗り出すだろう」と警戒感を示し、あくまで長期の停戦を求める考えを強調した。
 ハマスの最高指導者ハニヤ氏は20日からエジプトを訪れ、戦闘休止や人質解放などを協議したとみられる。だが、強硬な立場を崩さなかったもようだ。
 イスラエル軍は21日、激戦地の一つとなっていたガザ北部シュジャイヤで「作戦上の支配を確立した」と発表した。地上侵攻の正当性をアピールし、ハマス壊滅へ戦果を誇示した。シュジャイヤではハマスが軍事拠点を設けて抵抗を続け、今月15日にはイスラエル軍が誤って人質3人を射殺する事態も起きた。
 ネタニヤフ首相は21日も「目的達成まで戦争はやめない」と明言した。軍報道官は21日、今月1日の戦闘再開以降に「テロリスト2000人以上を排除した」と明らかにした。 
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザ北部を走行するイスラエル軍の戦車=19日、イスラエル軍の監督下で画像処理(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)