【エルサレム時事】イスラエル軍報道官は6日、戦闘を続けるイスラム組織ハマスについて、パレスチナ自治区ガザ北部での「軍事構造を完全に解体した」と発表した。現在はガザ中部と南部での作戦に集中しているといい、「戦闘は今年いっぱい続く」と長期戦も辞さない姿勢を示した。
 7日でハマスとの衝突開始から3カ月。報道官は「テロとの戦いに近道はない」と強調した上で、北部でのハマスの大規模攻撃を防ぐのに時間を要したと説明した。イスラエル軍が攻撃を強化するガザ中部の難民キャンプに関し、報道官は「密集しており、テロリストで満ちている」と主張。南部ハンユニスには「枝分かれしたトンネルの地下都市がある」と述べた。
 イスラエルのネタニヤフ首相は6日に声明を出し、ハマスの壊滅、人質の帰還、ガザがイスラエルの脅威とならないようにするという目標を改めて強調。「達成するまで戦争をやめてはいけない。(完全勝利まで)全てを脇に置かなければならない」と戦闘続行に強い意欲を示した。
 ロイター通信がガザ保健当局者の話として伝えたところによれば、イスラエル軍がハンユニスの民家に空爆を加え、女性や子供を含む7人が死亡した。国際医療NGO「国境なき医師団」は戦闘激化を受け、中部の病院からの撤退を決めた。
 ガザ当局は7日、ガザでの死者が2万2800人以上になったと発表した。10月下旬の地上侵攻以降、イスラエル兵は176人が命を落としている。
 中東歴訪中のブリンケン米国務長官は7日、ヨルダンを訪問しアブドラ国王と会談した。国王はガザでの戦闘がもたらす「壊滅的な影響」を警告した。
 ブリンケン氏は6日、トルコ、ギリシャ両国首脳ともそれぞれ会談。その後記者団に対し、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの交戦激化に懸念を示した上で、「エスカレートしないように可能な限りのことをしたい」と話した。
 イスラエル軍は6日、ヒズボラの軍事施設2カ所に空爆を加えたと明かした。1カ所は、ヒズボラの地対空ミサイル部隊が使用していたという。 
〔写真説明〕6日、イスラエル軍の爆撃が続く中、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで立ち上る煙(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)