【シドニー時事】オーストラリアで、洪水発生時に多数の牛が流される事例が相次いでいる。生きたまま下流域や海岸に漂着し、タグなどで飼い主が判明すれば牧場へ戻されるが、身元が分からず無人島に約2年間取り残されているケースもある。
 南半球の豪州では、夏に当たる12月から2月にかけて各地で洪水が頻発。昨年12月に北東部クイーンズランド州をサイクロンが襲った際も、牧場から牛が流され、下流の街で住民らが救出活動に当たった。一つの牧場から数百頭が流れ去ることもあるという。
 東部ニューサウスウェールズ州を流れるツイード川の河口近くにある無人島には、2022年2月の洪水で漂着したとみられる茶色の雌牛1頭が取り残された。タグが付いておらず、いまだ飼い主も名乗り出ていない。漁師が対岸から飲み水などを船で運んで命をつないできた。
 今年1月、この雌牛が黒い雄牛1頭と一緒にいるところが発見された。後から流れ着いたという見方のほか、雌牛が島内で出産した可能性も指摘されている。マングローブの茂る島に草は少なく、牛の生育に適した環境とは言えないため、当局や動物保護団体が観察を続けながら飼い主を探している。 
〔写真説明〕川から救助され高台に運ばれる牛=2023年12月、オーストラリア北東部クイーンズランド州ケアンズ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)