【シドニー時事】今月末で政界を引退するオーストラリアのモリソン前首相は27日、下院で議員辞職を前に演説し、中国の軍事的脅威や経済的威圧が厳然と続いていると指摘した。その上で「われわれはだまされてはいけない。中国の戦術は変わっても、彼らの戦略は変わらない」と警鐘を鳴らした。
 モリソン氏は「中国は圧力をかければわれわれがひるむと考えていたが、わが国は厳然と立ち向かい、同盟国やパートナーと協力して対抗した」と強調。自らの首相在任中に推進した米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」や日米豪印の協力枠組み「クアッド」などの連携を強化すべきだとの考えを示した。
 中国は2020年、モリソン氏が新型コロナウイルスの起源調査を求めたことに反発し、豪産品への貿易制裁を発動。アルバニージー政権との交渉で一部を解除した。だが、中国の裁判所が今月、豪国籍作家にスパイ罪で執行猶予付きの死刑判決を下し、豪中関係は再び冷却化している。 

(ニュース提供元:時事通信社)