四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は安全性が確保されていないとして、大分県の住民約550人が四国電に運転差し止めを求めた訴訟の判決が7日、大分地裁であった。武智舞子裁判長は「安全性を欠いていると認める証拠はない」として請求を棄却した。住民側は控訴する方針。同種の集団訴訟は広島、松山、山口の地裁・支部でも係争中だが判決は初めて。
 主な争点は、地震のリスク評価や火山噴火への対策だった。
 武智裁判長は、四国電がボーリング調査などを基に「原発敷地の地盤が、地震動の増幅をもたらすものではないとした評価は不合理とは認められない」と指摘。住民側は、精密な測定が可能な「3次元地下構造探査」が未実施のため、活断層の存在を正確に把握できていないと訴えたが、東京電力福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準は「常に3次元探査の実施を要求するものではない」と退けた。
 住民側は火山噴火の影響について、阿蘇山(熊本県)で破局的噴火が起きた場合を想定すべきで「想定が過小」などと訴えていた。
 武智裁判長は地下のマグマの状況などから「巨大噴火が差し迫った状態ではない」と判断。その上で「同原発が安全性を欠き、生命などに具体的危険があるとは認められない」と結論付けた。
 3号機を巡っては、広島高裁が17年12月と20年1月に運転差し止めを命じる仮処分決定を出したが、いずれも異議審で取り消された。
 四国電力の話 これまでの主張が裁判所に認められたもので、妥当な判決をいただいた。 
〔写真説明〕「不当判決」などと書かれた垂れ幕を掲げる伊方原発運転差し止め訴訟の原告側弁護士ら=7日午後、大分市

(ニュース提供元:時事通信社)