【ワシントン時事】バイデン米政権は8日、半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)に66億ドル(約1兆円)の補助金を交付すると発表した。TSMCは西部アリゾナ州に、先端半導体の製造工場を3カ所建設する。アジアに偏る半導体のサプライチェーン(供給網)の国内回帰を促し、経済安全保障の強化を図る。
 米政権によると、TSMCは建設中の2工場のうちの1工場を増強。回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の最先端半導体を手掛ける工場も新設する。投資総額は650億ドルを超える見通しで、最初の工場は2025年前半の量産開始を目指す。約50億ドルの融資と税制優遇も受ける。
 レモンド米商務長官は記者団に「先端半導体はわが国の経済や21世紀の軍事、安全保障を支えるのに必要な技術に不可欠だ」と話し、先端品の国内生産支援の意義を強調した。
 米国では、米インテルや韓国のサムスン電子などによる半導体工場の新増設計画が相次ぎ、人手不足が懸念されている。政権は5000万ドルを用意し、労働力の確保や半導体に関わる人材育成を後押しする。
 TSMCへの支援は、半導体補助金法に基づく措置で、インテルや米グローバルファウンドリーズなどに続き5件目。米政権は30年までに、世界の先端半導体の2割を国内で生産する目標を掲げている。 
〔写真説明〕台湾積体電路製造(TSMC)が建設中の半導体工場での式典=2022年12月、米西部アリゾナ州(TSMC提供)

(ニュース提供元:時事通信社)