【ワシントン時事】岸田文雄首相とバイデン米大統領は10日発表した共同声明で、半導体のサプライチェーン(供給網)強化に協力して取り組む方針を示した。自動車や家電などに幅広く使用される旧世代半導体を対象に、中国などアジアに偏る供給網の多様化を図る。脱炭素化に向け、閣僚級対話の枠組みを立ち上げ、政策協調を目指す計画も明記した。
 半導体を巡っては、他の同盟国と情報共有や政策調整を進め、「非市場的政策や慣行から生じる脆弱(ぜいじゃく)性に対処する」と表明。先端技術を使わない旧世代の半導体は、中国製品への依存度が高いとみられており、米欧で警戒感が高まっている。日米は各国と協力して対策を検討する姿勢を打ち出した。
 電気自動車(EV)向け電池などに使用される重要鉱物の確保についても、「引き続き協力を模索していく」方針だ。
 脱炭素化では、日米による国内政策の「相乗効果と影響の最大化」を目指すと説明。米国のインフレ抑制法や日本のGX(グリーントランスフォーメーション)推進戦略を挙げ、政策協調に取り組む方針を盛り込んだ。
 人工知能(AI)や量子技術など新興技術開発でも連携する。米マイクロソフトや日本の企業連合などから資金支援を受け、日米の大学が1億1000万ドル(約168億円)規模の「AI研究パートナーシップ」を結んだことを歓迎。「日米の技術的な優位性を高めるとともに、経済安全保障の強化を図る」と強調した。 

(ニュース提供元:時事通信社)