政府は23日、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた有識者会議メンバーに、佐々江賢一郎元駐米大使ら16人を内定した。河野太郎デジタル相の下に会議を設置し、6月上旬に初会合を開く方向で最終調整している。政府は「通信の秘密」を保障する憲法との整合性などを会議で整理し、早ければ、秋に想定される臨時国会に関連法案を提出したい考えだ。
 会議の名称は「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」。佐々江氏に加え、憲法学者の宍戸常寿東京大大学院教授や情報通信専門の村井純慶応大教授ら幅広い分野の専門家で構成する。
 能動的サイバー防御は重大なサイバー攻撃の恐れがある場合に攻撃元のサーバーに侵入し、未然に排除する措置で、北朝鮮などによる攻撃への懸念が強まる中、2022年の国家安保戦略で導入が決まった。会議ではサイバーセキュリティ基本法や不正アクセス禁止法の改正を含め、必要な法制度の整備について検討を進める。
 佐々江氏ら以外のメンバーは次の通り。(敬称略)
 弁護士 上沼紫野▽NEC特別顧問 遠藤信博▽東京海上ディーアール主席研究員 川口貴久▽NTT副社長 川添雄彦▽早稲田大法学学術院教授 酒井啓亘▽BLUE代表取締役 篠田佳奈▽SBテクノロジー・プリンシパルセキュリティリサーチャー 辻伸弘▽慶応大大学院教授 土屋大洋▽一橋大副学長 野口貴公美▽日本経済新聞社常務執行役員大阪本社代表 丸谷浩史▽弁護士 山岡裕明▽読売新聞グループ本社社長 山口寿一▽横浜国立大大学院教授 吉岡克成。 
〔写真説明〕佐々江賢一郎元駐米大使

(ニュース提供元:時事通信社)