2025/04/24
ハウツー

食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
同社内では「業務推進計画管理表」と呼んでいる。2023年にプロント版を作成した。それまで危機管理の担当は2人だったが、新型コロナや自然災害などのリスクの増加に伴い、危機管理部門の人数が増えてきたことから(現在6人)、進捗状況を確認していくことが難しくなり一覧表にまとめることにした。
「最初からこの体裁ではなく、今も完成版とは思っていないが、改善しながら使っている」と村上氏は話す。2024年に実際に部門で全員が書き込み、不要な部分や見にくい部分を修正した。

対象とするのは、年間のリスクマネジメント活動の中で上がってきたさまざまなリスク。災害、コンプライアンス、事件・事故があれば、それらも書き足す。「当初は、日常的なヒヤリハットレベルの報告されたものも書き込んでいたが、多くなりすぎたことから今ではヒヤリハットは分けている」(同)という。
例えば店舗での火災発生件数が増加・高止まりしていたら、「問題・課題」の欄にそのことを記入。次に、いつまでに課題を改善するのかを「期限」に書き込み、「開始・完了」のセルに、改善に向けた取り組みが始まったら「開始」を選ぶ。さらに、どのチームが対応にあたるのか、担当は誰なのか、新規のリスクが既存のリスクかを選び、対象事業所と重要度をそれぞれドロップダウンで選択する。
具体的なアクションの手順や、目的・目標は短い文章にして記載し、その上で、直近のアクション、進捗状況については、週1回、更新したり、書き足していく。対応を進める上で、留意点が出てきたら「推進上の留意点」に書き込む。Microsoft SharePointで管理しているため、履歴も保存されていて「より細かな進捗管理ができる」(〃)とする。
当然、緊急時には、この表を書くことより、とにかく早く緊急連絡網で報告をしてもらい対応にあたり、大きな事故が起きた場合は別途報告書をつくることにしているが、リスクマネジメント活動と関連のある事故や災害であったら、年間計画の進捗と合わせて参照できるようリンク付けをして記録を残しているという。
2024年度の書き込み件数は約100件だった。次年度以降にまたがるものもあるが、1年に1回、どの程度まで進捗が進んだかを確認する上でも役立つという。
村上氏は「自社だけでなく、企業の危機管理に携わる多くの人に見て使ってもらい、フィードバックをいただければ、さらに使いやすいものになる」と期待する。
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