ドラマ「御上先生」が教えてくれた大事なこと
第86回:情報環境の激変で顕在化するリスク(7)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2025/04/30
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
米国トランプ氏による関税ショックが世界中を震撼させ、株価暴落を招いた。
日本も例外ではなく、大幅関税増の発表がなされたが、まさかと言わんばかりの後手後手の対応に終始しているように見えているのは筆者だけではあるまい。事前に予想できないはずがなかったことなのにだ。
日本の文化的DNAによる欠点とされる「言霊主義」の存在が、歴史的事実として巷では語られている。「言霊主義」とは、口に出したことが現実になってしまうという思想であり、最悪の状態を想定して口に出してしまったら、実現してしまいかねないので、あえて悪いことは想定せず、口にも出すべきではないというものである。
認識していない方も多いかもしれないが、結婚式で「別れる」、受験前に「落ちる」という発言を忌み嫌うのがその現れでもある。発言内容が現実になったり縁起が悪いといったりするのは非科学的なのだが、人の行動志向は科学だけでは割り切れない思想が存在するということだ。
リスク管理に従事する方々には釈迦に説法だが、リスクというものは事前に想定しておかなければ、いざ顕在化した時の被害を最小化する対策はできない。あたり前である。しかし、今回の関税ショックによるリスクは本当に想定されていたのだろうか。
石破総理が米国訪問しトランプ氏と会談した後の記者会見で「トランプ大統領は『関税男』で知られる。米国がもし日本に関税をかけるとすれば、報復関税を行うか」と問われた際に「仮定の質問にはお答えしかねます、というのが、日本のだいたいの定番の国会答弁でございます」と答えている。
実際、この種の国会答弁はよく行われている。都合の悪い質問には答えずに逃げるテクニックである。一部では官僚答弁とも言われ揶揄されるが、界隈では大人の答弁であるかのように正当化されてもいる。しかし、問題の本質に向きあい、課題を明確にして、泥をかぶり、少々事を荒立てようとも解決を目指した発言をして、実際に行動しなければ、リスクマネジメントなどできない。
言いにくいことをストレートにズバッと表現すると、失言かのように批判が集中することも多く、過激な思想の持主かのように人格攻撃まで展開する事例もある。その場合、発言の本質的意味を汲み取らず、攻撃することを目的にするような、言葉尻を切り取っての集団リンチにも発展しがちである。こんなことが常態化すると、本当に伝えたい情報が隠れる、いや隠されてしまう。
トランプ大統領は石破総理との電話会談の後に、日本に対する発信を行っている。その内容を丹念に読めば、日本のとるべき方向性、ディールとしてのWinWinは目指せるはずだ。そして一部ではTPPと同様のディールが交渉され始めているが、本来日本がこの立場にいたはずなのにと首を傾げるのだ。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方