デジタル庁は12日、政府と地方自治体が共同で利用する情報システム基盤「ガバメントクラウド」について、2023年度のサービス提供事業者の公募を開始した。多数の技術要件を1社で満たす必要があった選定方式を見直し、複数企業による共同提供を可能とした。これにより、昨年度は米IT大手だけが選ばれたサービス提供事業者への国内企業の参入を後押しする。
 10月12日まで募集し、同月下旬に提供事業者を決定する。公募開始を受けて、クラウドサービス大手のさくらインターネットは「前向きに応募を検討している」と回答。IT大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)は取材に対し、「登録を目指したい」とする一方、現行の要件は依然として厳しいとの認識も示した。
 ガバメントクラウドは、自治体の情報システムなどを、個別に開発して利用するのではなく、政府が提供するインターネット上の共通基盤で運用する仕組み。従来は約300の技術要件を1社で満たす必要があり、アマゾンやグーグルなど米IT大手に規模で劣る国内勢では対応が難しく、これまでに応募はなかった。
 これに対し、与党内では経済安全保障上の観点からクラウドの国産化を求める声がある。デジタル庁が5~6月に実施した意見募集では、事業者から「複数のクラウドサービス事業者が連携提供する形態」を求める声が出た。 
〔写真説明〕河野太郎デジタル相=5日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)