日本列島の南方、北太平洋の水深100~500メートルに広がっている「亜熱帯モード水」と呼ばれる水温16~19度の層が、温暖化の影響で厚さが縮小し、その上の表層水温が上昇することで台風の勢力増強につながっていることが分かった。東京大や東北大、東京海洋大などの研究チームが13日付の米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。
 気象庁や米海洋大気局(NOAA)などの長期的な観測データを解析した成果で、この傾向は今後さらに強まると予想されるという。
 この亜熱帯モード水は、黒潮や関東の東へ流れる黒潮続流が運んできた暖かい海水が、冬に季節風によって冷やされることで形成され、南方や奄美、沖縄の沖合に広がっている。厚さが縮小すると、表層付近の高温層が拡大し、台風が発達しやすくなる。
 西日本の南方海域に注目すると、近年、亜熱帯モード水の層が最も厚かったのは2015年ごろ。しかし、17年に黒潮の大蛇行が始まってからは亜熱帯モード水の南西への広がりが妨げられる影響も生じ、急速に薄くなった。これにより、表層の水温が15年から21年までに最大約1度上昇したという。 

(ニュース提供元:時事通信社)