旧ソ連構成国アゼルバイジャンは19日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで軍事作戦を開始し、20日未明まで継続した。アルメニア側の地元当局は20日、ロシアの平和維持部隊の提案を受け、同日午後1時(日本時間午後6時)からの停戦入りを決めた。アルメニアの通信社アルメンプレスなどが伝えた。アルメニア系勢力が事実上降伏した形だ。
 停戦はアゼルバイジャン国防省も確認した。双方の合意によると、アルメニア系勢力は武装解除に応じるとされている。
 アルメニアのパシニャン首相は20日、アゼルバイジャンと地元当局の間の合意で、自国は関与していないと説明。国内で反政府デモが起こり、弱腰と批判される中で責任回避を図った。
 地元当局者によると、ナゴルノカラバフでは32人が死亡し、200人以上が負傷。ドローンなども投入されたとみられ、アゼルバイジャン国防省はアルメニア側の拠点60カ所以上を制圧したと発表していた。
 アゼルバイジャンは19日、アルメニア系勢力が仕掛けた地雷によって民間人が死亡したなどと主張し、作戦に着手。アゼルバイジャンのアリエフ政権は「武器を放棄し、軍事組織を解体しなければ、作戦を続ける」として、アルメニア系勢力に降伏を迫っていた。
 ナゴルノカラバフの中心都市ステパナケルトでは攻撃で住宅などが破壊された。AFP通信によれば、16集落の7000人以上が避難を余儀なくされた。 
〔写真説明〕20日、ロシアの平和維持部隊により避難させられるナゴルノカラバフの住民ら=ロシア国防省提供の映像より。撮影場所不明(EPA時事)
〔写真説明〕19日、ナゴルノカラバフの中心都市ステパナケルトで、攻撃によって破壊された乗用車(カフカス地方の独立系ニュースサイトOCメディア提供)(EPA時事)
〔写真説明〕19日、アルメニアの首都エレバンで、パシニャン首相に抗議するデモ隊(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)