銀行間の資金決済を担う「全国銀行データ通信システム」(全銀システム)で起きた障害では、復旧に丸2日かかるなど危機管理体制の甘さが露呈した。稼働以来50年間で大規模障害がなく、発生後の情報発信も混乱し、課題を残した。
 全銀システムは1日平均約900万件、金額ベースで約14兆円の資金のやりとりを担い、全国1100超の金融機関が接続している。システムを運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)はホームページで、「1973年の稼働開始以来、運用時間中に停止したことがない」とアピールしてきただけに、今回の大規模障害は痛恨事と言える。小林健一事務局長は18日の記者会見で、「お客さまに迷惑をかけることがない前提でやってきた」と弁明。障害について「予見できなかった」と悔やんだ。
 情報発信も円滑さを欠いた。障害は10日午前8時半すぎに確認されたが、全銀ネットの発表は同日正午近く。同日夕には受け付け済みの振り込みについて「本日中の着金を予定している」と公表したが、ほどなく削除した。「本日中の着金」で各行が反発したとされる。小林氏は金融機関との情報連携を含め、「反省すべき点がなかったかしっかり検証する」と述べた。
 全銀ネットは詳しい原因の究明と再発防止策の策定を急ぐ。金融サービスなどに詳しい米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーの竹村和昭パートナーは「一定の障害発生を前提に、影響を最小化し迅速に復旧できるようシステムの柔軟性を高めるべきだ」と指摘している。 

(ニュース提供元:時事通信社)