新潟大の植田勇人准教授らは27日、文部科学省で記者会見し、昨年9月に宮城県沖の日本海溝を米国の有人潜水艇で調査した成果を明らかにした。水深約7500メートルの深海底には、東日本大震災の大地震が発生した際、大きく隆起して津波を引き起こした地形があり、先端が高さ26メートルの崖になっているのを発見した。
 日本海溝では陸側プレートの下に海洋プレートが沈み込んでおり、海底下の広範囲の境界が急に滑って大地震が発生した。大震災直後の音波探査で、日本海溝付近の海底が大きく隆起したことが分かっていたが、先端の崖を有人潜水艇で観察できたのは初めてという。
 植田准教授は「(陸側プレートの)地盤の先端が東へ80~120メートル動き、先端が急激に約60メートル持ち上げられた後、崩壊して崖ができたのではないか」と話した。崖の下には崩れた泥の塊が広がっている様子が見られた。
 調査は新潟大や東京海洋大、西オーストラリア大などの国際研究グループによる日本付近の海溝潜航調査の一環として行われた。日本海溝については、今後多くの地点で調査できれば、津波を引き起こした海底地形の変化が詳しく分かり、災害予測に役立つと期待されるという。 
〔写真説明〕日本海溝の潜航調査で、東日本大震災の津波を引き起こした隆起地形の先端にある崖を発見したと記者会見する植田勇人新潟大准教授=27日午後、文部科学省
〔写真説明〕宮城県沖の日本海溝、水深約7500メートルで昨年9月に有人潜水艇から撮影した崖(上から見下ろす形)。東日本大震災の津波を起こした隆起地形の先端にある(植田勇人新潟大准教授ら提供)

(ニュース提供元:時事通信社)