クーデターで国軍が実権を握ったミャンマーでは、「仕事がない」として若者らが国外に出て働く動きが活発化している。就職先として日本の人気は高く、今年の日本語能力試験への応募者は前年の約3倍の延べ約20万人に急増した。
 3日午後、最大都市ヤンゴンのヤンゴン大学前は、試験を終えた受験生や出迎える家族らで混み合っていた。男性のトゥンパタさん(26)は、3年前に自動車整備の学校を卒業したが、新型コロナウイルスや2021年のクーデターの影響で仕事がなかった。「車が好きなので日本に行って働きたい」と語った。
 試験を主催する国際交流基金によると、応募者は約10万人。7月の試験も約10万人で、年間の応募者は延べ約6万5000人だった22年から大幅に増えた。日本国外で実施される日本語能力試験としては、中国の延べ約32万8000人に次いで2番目の多さとなる。
 同基金の担当者は「日本への就労や留学の希望者急増が背景にある。新型コロナの収束も要因の一つ」と分析する。会場の都合などで応募者は制限されており、受験希望者はさらに多かったとみられる。
 ミャンマーではクーデター後の雇用情勢の悪化で、隣国タイや韓国などで働く人も多い。ヤンゴンにある人材紹介会社「ジェイサット」の西垣充代表は「国内では将来の希望を見いだせず、大学に通う年代でも海外に出られる若者は出ようとしている。待遇や治安が比較的良い日本の人気は高い」と指摘した。
 一方、在日ミャンマー大使館は21日、日本にいる労働者から月1000~2000円の所得税を徴収すると通知。タイなどでも同様の発表があり、国軍側は財源の獲得手段として在外労働者を利用し始めた。 
〔写真説明〕ミャンマー最大都市ヤンゴンで日本語能力試験を終えて会場から出る受験生ら=3日

(ニュース提供元:時事通信社)